2008年04月21日
PX各社、5月分も大幅引き上げを表明
PTA企業は強く反発、減産強化も検討へ
【カテゴリー】:市況(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 新日本石油、出光興産などPX(パラキシレン)企業は、このほどPTA(高純度テレフタル酸)各社に対してPXの5月のコントラクトものの価格(ACP)を4月に続いて引き上げたい考えを相次いで表明した。
 
 今回PX各社が打ち出した5月のACPは、安いケースでトン当たり1,350ドル、高いケースで同1,390ドル。4月分の決着価格に比較すると同90〜130ドル高、今年1月と2月の価格に比べると同250〜290ドル高となる。これが受け入れられると、06年9月に記録した同1,400ドルの史上最高値に次ぐレベルに引き上げられることになる。
 
 しかしこれに対してはPTA各社がいずれも反発、上げ幅の縮小を強く求めている。これは、PTAの最大の消費国でありわが国最大の輸出先でもある中国のポリエステル企業が採算悪化を理由に4月の輸入PTA価格の引き上げに強く反対していて決着の見通しが容易に得られず、しかも5月はさらに価格面でも数量面でも一段と苦しい状況に追い込まれる可能性が大きいため。
 
 わが国のPTAメーカーによる中国向けのPTAのトン当たりの輸出CFR価格は、1月が870ドル、2月が890ドル、3月が950ドルと小幅な上昇を続けてきた。しかし上げ幅のトータルは同80ドルにとどまり、先行する原料PXの同150ドルを大きく下回っている。しかも、4月分については三井化学などわが国のPTA企業が希望している同1,030ドルへの引き上げに中国側が強く反対している。これは、中国のポリエステル繊維の内外需が不振から抜け出せずそれに伴い製品市況も低迷状態が続いていることによるもので、中国のポリエステル企業の中には日本のPTA各社が値上げに踏み切れば減産を強化して輸入量を思い切って縮小する構えを示すところが増えている。
 
 このため三井化学などは、当面の中国向けの輸出量を最低限度まで絞り込むことで需給の均を維持しつつ輸出価格の是正を何としても実現していきたいとしている。ついては、かねて実施中のPTAの減産をさらに強化することも検討しているが、その場合はどうしてもコストアップが進み事業採算の一段の悪化が避けられなくなる。PTA各社が今回のPX価格の大幅アップに強く反発しているのはこうした事情があるため。一方のPX各社も原料高に頭を痛めていて安易な妥協はできないとしている。したがって今回の今後の交渉はあるていど長期化する可能性が強い。