2008年04月28日
BASF、世界初「プラスチック製チップアンテナ」開発
レーザーによる立体成形回路基板用ポリアミドの新製品
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:BASF
世界初のプラスチック製チップアンテナ

 BASFは28日、韓国の有力アンテナメーカーであるEMWアンテナ社に、レーザーによる立体成形回路基盤用ポリアミド新製品の供給を開始したと発表した。用途は、GPSおよびブルートゥース対応携帯電話向けで、世界初のプラスチック製チップアンテナの開発となる。
 
 新製品「Ultramid(R)(ウルトラミッド)T 4381 LDS」 は、結晶性で芳香族の構造を持つ耐熱ポリアミドの6/6Tで、10%のグラスファイバーと、25%のミネラルフィラーで強化されており、機械的特性を損なわずに幅広い加工条件でメッキができる特徴がある。

 携帯電話のチップアンテナには、これまでセラミック材料が使用されてきたが、このセラミック製と比較してウルトラミッドは、周波数帯域が広く、電圧定在波比が低い。このため、アンテナの性能を向上させる。また、欠陥率が低く、必要な製造工程が少ないことから、コストも削減できる。

 「ウルトラミッド(R)T 4381 LDS」に採用されたレーザー直接回路法では、レーザー感応型の特殊ポリマーを用いた成形品の表面に対して、レーザーを用いて回路を「描画」する。プロセスはシンプルな3工程で、導体のメッキ工程のいくつかの重要な工程が不要になることから、より環境に優しいプロセスといえる。

 これらの工程の中心となるのが、レーザー感応型の特殊金属錯体を含有するプラスチックで、この金属錯体は、コンパウンディング工程で他の添加剤同様ポリマー樹脂に練り込まれる。金属錯体は非導電性のため、ポリマーの誘電特性への影響はない。波長1,064ナノメートルの赤外レーザー光をポリマーに当てると、金属錯体は単体金属(この場合は銅)と残留有機基に分解される。

 こうしたレーザー処理によって、部品の表面には3次元の伝導経路が実際に刻み込まれ、その後すぐにメッキすることで、回路の最適な定着性が得られる。これによって、電子回路をプラスチック表面にそのまま集積することができる。
 
 他の電子部品の製造方法と異なり、設計の自由度が高く、工程が少ない、必要な材料の種類が少ない、回路のレイアウトを柔軟に変更できるなどのメリットがある。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1209349431.pdf