2008年05月09日
旭化成ケミ・藤原社長「高付加価値事業の拡充に注力」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭化成ケミカルズ
藤原健嗣社長

 旭化成ケミカルズの藤原健嗣社長は9日記者会見し、同社の08年3月期の業績と09年3月期の同予想を発表した。
  
 この中で09年3月期の業績について「売上高は08年3月期を328億円上回り9,120億円となる見通しだが、営業利益は原燃料価格の続騰とドル安・円高が足を引っ張り52億円減の600億円にとどまる見込みだ」と、増収減益見通しを明らかにした。また「こうした中で健全な企業体質を維持していくには高付加価値系事業の一層の拡充が不可欠なので、その実現に必要な措置を積極的に展開していきたい」と、引き続き高付加価値型製品やプロセスによる事業の充実・強化を当面の経営の最需要課題に掲げていく考えを強調した。

 藤原社長の発言概要は以下の通り。

○ 09年3月期の営業利益が08年3月期を下回ると予想しているのは、ナフサをはじめとした原燃料の高騰によるコストアップと、ドル安・円高の進行によるANを中心とした誘導品の輸出採算の悪化が避けられない見通しにあるためだ。ナフサ価格は1キロリットル当たり6万8,000円(前期は6万1450円)、為替レートは105円(同114円)と想定して予算を組んだ。

 ○特に当社にとって影響が大きいのはドル安・円高の進行である。ANなど輸出比率が高い商品が多いためだ(08年3月期の海外売上高比率:40.4%)。今後も輸出価格の底上げに取り組むが、原燃料費の続騰も加わるので採算の確保は容易でない。早目に行動していくことが大切だ。

 ○これまで育成に力を入れてきた、リチウムイオン2次電池用の微多孔膜「ハイポア」やイオン交換膜法食塩電解プラント、イオン交換膜などの高付加価値製品は今期も順調に伸びていく見通しにある。引続き積極的に投資を行い“ナンバー・ワン戦略”を展開していきたい。「ハイポア」は守山で3回目の増設工事に着手しているところだが、新たに日向に工場の新設を決めた。2拠点体制が確立できることになる。

○厳しさを増す環境の中で引続き業績を維持していくには、こうした独自の高機能ケミカル製品を中心にさらなる充実・強化が不可欠だ。大量水処理用精密ろ過膜「マイクローザ」の中国での取り組みの強化、「ハイポア」の増産体制の確立、さらには高機能包装材料など川下の新規機能加工製品の開発・強化をタイムリーに実行していくようにしたい。

 ○また、中東・アジアを中心に石化産業は新しい時代に入る。今はそのターニング・ポイントにきている。当社もそうした時代に組織面から対応しようというので、来年4月1日付で組織改正を行なう予定だ。1つは、モノマーとPEなどの汎用樹脂を一体にした「石化・モノマー事業グループ」、2つ目は「高機能樹脂と川下樹脂製品」を1つにしたグループ、3つ目は高付加価値製品を集めた「高機能ケミカル事業」、この3つのセグメントに組み替える。これによって、さらに効率的に収益性の高いビジネスを展開していきたい。