2008年05月14日
トクヤマ・中原社長「引き続き多結晶シリコン事業を拡充」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:トクヤマ

 トクヤマの中原茂明社長は13日夕、都内で記者会見し07年度の業績と08年度の業績予想、当面の重点課題等を明らかにした。
 
 同社の07年度の連結決算は売上高が5.0%増の3,074億円、営業利益は同1.7%増の353億円、当期純利益同2.3%増の189億円と引続き増収増益となった。この結果、前中計(05〜07年度)の業績目標を全てクリアした。しかし07年度の営業利益は1%台にとどまった。
 
 この点について同社長は「多結晶シリコンや乾式シリカ等を中心とする特殊品部門は順調な伸びを続けたが、化学品とセメント建材両部門が原燃料の高騰や固定費の増加等によって営業利益を減らしたのが響いた」と説明した。
 
 一方、08年度の業績予想は、売上高は3,310億円で7%増えるが、営業利益は15%の減益となる見通し。同社長は「石炭、原塩、ナフサ、金属珪素等の続騰に加えて償却費、補修費、人件費等の増加が避けられない」と説明。全セグメントで減益に転じるとの厳しい見方を示した。

 しかし同社長は「中核の多結晶シリコンや乾式シリカの需要が、引続き好調を維持できる見通しにあるなど明るい材料もある」とし、「ジーメンス法多結晶シリコンの増設工事が順調で、09年春には年産3,000トン設備が完工する。また、VLD(溶融抽出)による多結晶シリコン製造法の技術開発も着実に進み、サンプル配布できる段階まできた」と明るい表情を見せた。
 
 「GSE(グローバルシリコンエアンタープライズ)プロジェクト」と名づけて実現を目指しているシリコン・シリカの第2生産拠点作りについては、候補地を国内外の3カ所に絞って最終調査に入っており、年内には結論を出す予定だ。
 
 研究開発では、携帯端末向けの燃料電池用炭化水素系電解質膜の開発を最重要テーマの一つに掲げ、早期実現を目指す。「旭化成ケミカルズと共同でカチオン型電解質膜の開発を進めていくことにしたが、両社にとって研究開発の効率向上にプラスになるはず」と、今後の成果に期待を示した。