2008年05月16日
ANのアジア市況、初の2,000ドル台入り
5月のスポット、定修によるタイト化で続騰
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:旭化成ケミカルズ

 ANの(アクリロニトリル)大手筋の情報によると、アジア地域におけるANのスポット相場がここにきて一段と上昇、中国向けのCFR価格は安値でもトン当たり2,020ドル、高値は2,070ドルまで上がってきた。

 ANのアジア地域におけるCFRベースのスポットものの平均価格が同2,000ドルの大台を突破したのはこれが初めて。4月のスポットものの平均は1,960〜2,000ドルであったので、1ヶ月で60〜70ドル上がったことになる。

 ANの需要は、ABS樹脂向けやアクリルアマイド向け等が好調を維持している半面、アクリル繊維向けの不振が長期化の傾向をたどっているため全体では伸び悩みの状態にある。それにもかかわらず相場が続伸しているのは、もともと世界全体の総供給能力が総需要量とほぼ同じ規模にとどまっていたなかで、ANメーカーの定修による運休がこの期間に集中したことで需給バランスが一気にタイト化してきたためと見られる。
 現在、定修によって設備を運休中のANメーカーは、旭化成ケミカルズ、ダイヤニトリックス、米・ソルーシア、同・サイテックス、英・BASF、スペイン・レプソール、中国・吉林化学の計7社。6月末までは多くのプラントが運休する見通しにあり、したがって最大消費地域であるアジア地域における相場はなお強含みで推移する公算が濃厚といえる。

 しかし、わが国のANメーカーは原燃料高と円高によって現在の海外相場では採算を維持できなくなっている。このため最大手の旭化成ケミカルズでは6月の輸出価格をさらに50ドル引き上げる考え。