2008年05月22日
汎用樹脂の出荷、1〜4月計も軒並み前年を下回る
PSの包装用を除き国内の主力品種が不振
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 汎用5樹脂(ポリオレフィン3樹脂とPSならびにPVC)の4月の出荷数量は軒並み前年同月の実績を下回ったが、1月から4月までの累計も同様に5樹脂全てが前年同期割れとなった。5樹脂が揃って前年同期を上回った昨年1〜4月の累計とは対照的な姿となっている。
 
 5樹脂の同期の出荷が全て前年同期を下回ったのは、国内向けが軒並み前年同期割れとなったのに加えて、輸出もPSの15.0%増を除いて大幅に前年を下回ったため。
 国内向けが縮小したのは、包装用が2.5%増えたPSを例外に主力品種が揃って前年を下回ったから。LDPEとHDPEのフィルム用、PPの射出成形用、PVCの硬質用が全てマイナス成長となり、PSも包装用以外は前年割れとなった。
 
 5樹脂のうちLDPEとPPの減少には、一般景気に陰りが生じてきたのに加え、三菱化学・鹿島の第2エチレンプラントの火災によって日本ポリエチレンと日本ポリプロの生産・出荷が大きく制限されたことも少なからず影響していると見られている。しかし、HDPE、PS、PVCの3樹脂の場合はそうしたアクシデント以外の要因、すなわち住宅建築数の縮小や食品業界による消費の抑制等が大きく作用している模様。
 もっとも、ポリオレフィンの主要品種の中には順調な成長を遂げているものもいくつか見られる。LDPEの射出成形用(同6.2%増)、HDPEの中空成形用(同1.9%増)、PPの一般工業用(同6.1%増)とフィルム用(同2.9%増)などが代表例として挙げられる。LDPEの射出成形用にはボトルのキャップが、HDPEの中空成形用には自動車のガソリンタンクが、PPの一般工業用には自動車部品が、同樹脂のフィルム用には高機能CPP等の需要の好調がそれぞれ大きく寄与した模様。

 一方の輸出の減少には、円高の進行と三菱化学のエチレンプラント事故、さらには中国の買い控え等々、いくつかの要因が複雑に絡んでいる。
 
 5月の出荷も国内向けと輸出がともに引き続き低調であったようだ。上昇を続けてきた価格が足を引っ張っていると分析する向きもある。こうした中でポリオレフィンメーカーをはじめと多くの樹脂メーカーは6月あるいは7月から再値上げに踏み切ろうとしている。多くの需要家が受注量の減少傾向に頭を痛めているだけに、生産の適正化が一段と重要になりそう。
 汎用5樹脂の今年1〜4月合計の出荷数量は以下の通り。かっこ内は前年同期比。
▽LDPE=国内向け517,215トン(99.0%)、輸出68,303トン(86.9%)、合計585,518トン(97.5%)。
▽HDPE=国内向け309,964トン(99.7%)、輸出36,903トン(82.3%)、合計346,867トン(97.5%)。
▽PP=国内向け917,751トン(98.7%)、輸出83,501トン(66.5%)、合計1,001,252トン(94.8%)
▽PS=国内向け269,697トン(94.3%)、輸出13,944トン(115.0%)、合計283,641トン(95.1%)。
▽PVC=国内向け403,503トン(95.6%)、輸出201,612トン(73.0%)、合計605,115トン(86.6%)。