2008年05月28日
盛況の「APIC 2008」、参加者1,200人超に
米倉会長が「気候変動と化学工業の役割」で講演
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:石油化学工業協会
APIC2008開会式 勢揃いした各国首脳

 日本、シンガポール、韓国などアジアの7ヵ国の石油化学業界の代表が一堂に集まりアジア地域全体の石油化学工業に現状と展望について意見を交換する「アジア石油化学会議 APIC 2008」の本会議が「我々はどこに向かうべきか」をテーマに28日、シンガポールのラッフルス・シティーコンベンションセンターで開催された。

 はじめに、主催者であるシンガポール化学工業協会(SCIC)のRr A Chockalingam 会長が歓迎のスピーチを述べ、次いで、台湾、日本、韓国、タイ、マレーシア、インドの各国の石油化学業界の代表がそれぞれ挨拶。そのあと米倉弘昌・石油化学工業協会会長(住友化学社長)ら4氏による基調講演があり、午前のプログラムを終了した。

 Chockalingam会長は、07年におけるシンガポールの石油化学工業を振り返って「総生産額は前年を11%上回って830億シンガポールドルに拡大したが、原油の高騰によって多くの企業が収益力の低下に悩まされ、一部には減産を余儀なくされるところも出た」と述べ、おおむね順調な成長を遂げたと言える一方でこれまでにない大きな問題に直面した点を披露した。

 また当面の見通しについては「今後も原油価格はさらに上昇する公算が強い。また、CO2の削減も石油化学業界にとってこれまで以上に重要な課題となる」と指摘。そして「それだけに石油化学企業は技術革新によってより高い機能と品質を備えた製品を市場に提供していくことが大切となる。こうした中で開催される今回の会議は極めて重要であり、有益な議論が展開されることを期待している」と結んだ。

挨拶する米倉石化協会長

 米倉・石化協会長は、基調講演の中で、07年の日本の石油化学について「需要は国の内外で着実な伸びを遂げたが、原油価格の高騰はやはり日本の石油化学業界にとっても大きな衝撃になった」と語り、他の国と同様に原油価格の高騰がマイナス要因として大きく働いた点を指摘した。

 次いで今後のアジアの石油化学業界の共通課題として、「気候変動問題の解決が最重要テーマであり、ここに集まっている各国の化学企業が力を合わせて革新的なテクノロジーの開発とその活用によって2050年にはCO2ガスの排出量の半減を実現していくようにしたい。日本の化学業界はこうした課題のクリアのため、これまで蓄積してきた省エネ・CO2削減技術を広く提供していくことにしている。今回の会合でもこの地球環境問題について率直な率直な意見交換が行われることを期待している」と述べ、アジアの化学業界が気候変動問題の解決に大きく貢献していく必要がある点を強調した。

 午後は、「共通問題・原料」「ポリオレフィン」など7つの分科会に分かれての会合が開かれ、それぞれの部門ごとに熱心に情報と意見が交換された。参加者は1,200人超で、過去最高となった。
 次回の会合「APIC 2009」は、09年5月14〜15日韓国・ソウルで開催されることが決定した。