2008年05月30日
ジェトロ「中国ビジネスでの知的財産権」対策説明
「リバースエンジニアリング」対策でアドバイス
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:ジェトロ

 中国が「リバースエンジニアリング」(他社の新製品を分解・解析し、その技術を自社製品に応用する手法)を認めることになって、技術の流出をどう防ぐか、日系企業が対応を迫られている。技術を提供した中国企業に、同じような機器を模造される事態に、手をこまねいているわけにはいかないが、具体的な対策となると、今のところ有効な手段が浮かばないのが実情のようだ。

 この悩みを解消するためジェトロでは、在外企業支援・知的財産部知的財産課が横浜で、契約書の重要性、ライセンスできる技術、ライセンスの種類、契約での注意事項についての説明会を開いた。(問い合わせは同知的財産課 TEL:03-3582-5198) 

 同課の服部正明アドバイザーはリバースエンジニアリングに対する防衛策として、
(1)中国にも特許、意匠権の登録出願をする
(2)設備機器の販売、技術供与時の契約を充実させるーの2点を挙げている。

 契約書の重要性ではまず、係争発生時に強力な対抗手段となり得るとし、またロイヤリティ送金の技術輸入契約書登録証を得るための登録申請にも必要としている。正式提携/供与前に技術ノウハウを開示する場合は機密保持契約締結の要(交渉が決裂した時、開示したノウハウは戻らない)。

 輸入登録手続きでは契約締結—登録申請(オンライン、http://info.ec.com.cn)—登録証発行の手順。登録申請では申請書、契約書の副本、当事者の地位証明書が必要で地方外経貿主管部門に申請。

 ライセンスできる技術は禁止技術を除き、許可制の制限技術と登録のみの自由技術。特許権を実施許諾する場合は契約発生日から3カ月以内に知的産業局(特許庁)への届け出が必要(特許、実用新案、意匠権のみ、商標権は商標局)。

 ライセンスの種類は独占的許諾(被許諾権者のみ)、排他的許諾(権利者と被許諾権者のみ)、通常許諾(権利者と各被許諾者)の3種。ライセンシーの訴権は独占的許諾では単独で権利行使が可能、排他的許諾では権利者と共同で可能(権利者が行使しない場合は単独で可能)、通常許諾では権利行使不可、委任状が必要。

 ライセンス契約で規定すべき事項は、許諾する製品の適用範囲、期間、ライセンス許諾事実の表示の可否、実施数量の報告義務、ロイヤリティ額、支払条件、査察権、機密保持、違反の際の罰則、改良技術の取扱、契約解消時の継続実施可否、準拠法、紛争解決手段など。(弁護士にチェックを依頼する)

 紛争解決手段としては裁判、仲裁、調停などがある。仲裁による解決が一般的。裁判の判決による執行については、日中間の取り決めがない。仲裁の裁定は日中ともニューヨーク条約に加盟しているので執行は可能という。