2008年06月09日
アジア市場でPP価格が急騰、四川省地震影響も
一部トレーダはトン2,000ドルを提示
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 大手商社筋によると、中国を中心としたアジア市場でPP(ポリプロピレン)ホモポリマーのスポット価格がここにきて急騰してきた。トレーダの中には、先週末の時点でトン当たりCFR2,000ドルを提示するところも現れている。3週間前に比べると実に同400ドル高となる。

 ただし需要家の多くは強く反発、同1,850ドル以下でなければ受け入れられないとしてそれ以上の価格での契約をしばらく見送るところが大半を占めているようだ。同1,850ドルの場合でも3週間前に比べると同250ドルもの値上がりとなる。
 
 短期間でスポット価格がこのように大幅に引き上げられるのはPPにかぎらずポリオレフィン全体でも最近では極めてめずらしい。

 商社筋では、この要因の一つとして、中国・四川省をはじめアジア各地で同樹脂のフラットヤーン品種の需要が急増してきた点を挙げている。地震や洪水による災害の拡大防止用に土嚢の需要が急増していることによるもので、同じ背景からHDPE(高密度ポリエチレン)のヤーン品種に対する引き合いも急拡大しているという。同樹脂のヤーン品種の価格も急上昇しており、直近のCFR価格は同1,750ドルまで上がっている。3週間で同100ドル上がった計算になる。

 PPの急騰のもう一つの要因として、この春から中国で始まったOPP(PP延伸フィルム)の新・増設ラッシュを挙げる商社が多い。ある商社が入手した情報では、この数ヶ月で新・増設された延伸装置は年産100万トン分を優に超える規模になっている。昨年の設備能力の2倍になと推定されている。
 
 こうした点を背景としているだけに同樹脂のスポット価格が急反落する可能性は低いと見られている。最近は、原料プロピレンのアジア地域のスポット相場も急騰している。平均CFR価格は同1,650ドルで、中には1,700ドル唱えも散見される。2カ月前に比べるとほぼ400ドル高い。エチレンのスポット価格を逆転している。これには、極東におけるエチレンプラントの定修の集中と東南アジア地域のエチレンセンターの減産によってプロピレンの生産量が縮小していることに加えて、PP需要の急拡大と市況の急騰が作用していると見られている。 

 大手商社の間には、今後もPPとプロピレンの連れ高がしばらく続くとの見方が定着しつつある。