2008年06月10日
三井化学、製品価格の改定幅を拡大へ
3Qのナフサの予想価格を83,000円に修正
【カテゴリー】:市況(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は10日、同社がさる5月19日表明した(一部製品は6月5日打ち出し)BPA(ビスフェノールA)など基礎化学品事業本部の取り扱い製品12品目とEPTなど機能材料事業本部所管製品6品目の価格引き上げ幅を、フォーミュラ顧客向けフェノールを除いて拡大修正すると発表した。

 これは、最近の原油の高騰によって原料ナフサの7〜9月期の価格が当時予想していた1キロリットル当たり77,000円が同83,000円まで上がる見通しとなってきたためそれに伴うコストアップの拡大分を5月19日に打ち出した値上げ額に上乗せすることにしたもの。新価格の適用開始時期は、従来の計画通り7月1日出荷分からとする。

 当時の予想との間で生じるナフサ価格の格差は1キロリットル当たり6,000円であり、その分だけでも製品1キログラム当たり12円のコストアップが発生することになる。この日同社が打ち出した新たな改定額は、そうしたナフサ価格の再上昇見合い分を5月19日表明の改定額に加算することを基本に設定されたもの。

 アセトンやEOの追加値上げ額は同12円に設定されている。しかし化学製品のオレフィン使用原単位は製品によって大きく異なる。このため今回の値上げの上乗せ額も製品によってかなりばらつきが生じることになる。例えばBPAの場合は、主原料はBZ(ベンゼン)であり、そのBZの価格が当初の予想よりキログラム20円上がって同31円に引き上げられることになったため今回の再改訂ではプロピレン価格のアップ分を大きく上回る同24円の値上げを実施することになっている。エポキシも今回の改定額は同17円と大きいが、これはBPAに加えてECHの価格が当初の予想以上に引き上げられることが確定したことによる。

 それでも化成品の場合は、原料価格再上昇分の製品価格への転嫁が今回の再改定の専らの狙いとなっている。しかし一方の機能材料事業本部の6品目、三井EPT、ミラストマー、タフマー、アドマー、ビューロン、ルーカントの6品目については、燃料・用役等のコストアップ分もかなり大きいのでオレフィン価格の同12円の再上昇分に加えて同4円をさらに上乗せすることにしている。

 こうした内容の再改定が実施されると、現在の製品価格はおおむね20%引き上げられることになる。現在の製品価格はナフサ1キロリットル68,000円見合いのレベルにあるが、7〜9月期のナフサ価格が83,000円になるとその分だけで製品1キログラム当たり30円の価格是正が必要となる。加えて副原料費や燃料費、さらには用役費等も軒並み上昇する見込みなので、実際の値上げ幅は化成品では最大同58円にもなる。機能材料本部の自動車・産業材製品は同44円となる。例外はフォーミュラー顧客向けのフェノールの同17円だが、これはC重油の高騰分の転嫁が今回の改訂の狙いとなっていることによるもの。

 この日、三井化学が明らかにした基礎化学品事業本部と機能材料事業本部の主要製品の価格改定内容は別表の通り。

【関連ファイル】
https://www.chem-t.com/news/files/tmp_file1_1213091855.xls