2008年06月11日
三井化学のBPAの生産、内外で大幅減に
定修による運休に加えて、計画減産も
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学によるBPA(ビスフェノール-A)の生産量がしばらくの間、大幅に縮小することがこのほど明らかになった。ミツイ・ビスフェノールシンガポール社のプラント3基のうちの1基を定修のため5日から運休したのに加え、市原工場の設備の稼働率を6月入りとともに70%に抑制する措置を取り始めたことによる。
 
 うちシンガポールのプラントの定修は7月4日に終了するが、その直前の6月末には大阪工場のプラントが定修入りする予定。このため同社のBPAの生産量は少なくとも7月末までは従来の規模を大きく下回る形で推移することになる。
 
 BPAの需要は、最大の消費先のPC(ポリカーボネート)の需要の低迷が影響してこのところ前年を下回る傾向にある。それに伴い国際市況も低水準に張り付いたままきており、このためBPA各社は原燃料の高騰分を輸出価格に転嫁できずにいる。こうした中で欧米のBPAメーカーの多くは、事態を打開するためこの春から20〜30%の減産に踏み切っているが、三井化学も当面の需給の均衡には減産が不可欠と判断して定修による運休に加えて非定修プラントの稼動調整にも踏み切ったもの。
 
 この結果、6月から7月末にかけての減産量は、シンガポールの年産76,000トンプラント分と大阪の同65,000トン装置分、それと市原の同90,000トン設備のうちの同27,000トン分の合計168,000トン分ということになる。同社の総設備能力は、5月に定修を完了した名古屋工場の同55,000トンプラントを合わせて同440,000トンで、アジア地域では最大の規模となっている。そのうちの38%相当分が縮小することになる。
 
 このほかわが国では、新日鉄化学も6月中旬から1ヶ月にわたって同100,000トン装置を定修のため運休する。こうしたことで中国向けの輸出は暫くの間、大幅に縮小することになる見通しであり、それが今後のアジア市況全体にどういった変化をもたらすことになるかが注目される。