2008年06月19日
PEの出荷減、フィルム用品種の不振が主因
PPは雑貨向け射出品種の大幅減が足引っ張る
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィン3樹脂の国内向け出荷の前年同月割れが長期化しつつあるが、その大きな要因はLDPEとHDPEのフィルム用品種とPPの雑貨向け射出成形用品種の需要がともに大幅に縮小している点にあるがこのほど明らかになった。
 
 ポリオレフィン3樹脂の今年1月から5月までの国内向け出荷量は、LDPEが637,227トンで前年同期比3.6%減、HDPEが381,769トンで同3.7%減、PPが1,132,271トンで同2.9%減となっている。うちLDPEとPPは、2月から5月までの4ヵ月が全て前年同月割れとなっている。HDPEは3月から3ヵ月連続で前年同月を下回っている。このように3樹脂が揃って数ヶ月連続で前年を割り込むのはきわめてまれなこと。
 
 その要因は、3樹脂それぞれの最大消費品種が軒並み不振を続けている点にある。1〜5月の累計でとらえると、LDPEのフィルム用は328,884トンで同3.7%減、HDPEの同じくフィルム用は121,400トンで同6.1%減、PPの射出成形用は621,150トンで同7.1%減となっている。
 両ポリエチレンのフィルム用品種の縮小は、大手スーパーの間でレジ袋の使用自粛の動きが広がってきたことに大きく影響されてのものと見られる。
 一方PPの射出成形用の不振は、雑貨向けが20.2%もの減少となっていることによるもの。ただし、同じ射出成形用でも自動車部品向けを中心とする一般工業部品向けは6.0%増とポリオレフィンの中ではめずらしい高成長を維持している。また、同じPPではフィルム用がPEの場合とは逆に1.4%増と小幅ながら前年同期を上回っている点も注目される。OPPとCPPの持つ優れた機能が工業・産業分野で人気を呼んでいるためと見られている。
 
 結局は、付加価値の低い品種が全体の足を大きく引っ張っている様子がはっきり浮き彫りになっているわけで、このへんを各樹脂メーカーがどう捉えて今後の事業戦略に生かしていくかが注目される。