2008年06月27日
中国の汎用樹脂の輸入、5月は多くが前年超え
4月までとは様変わり、ただしPEは前年割れが続く
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(海外、実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 中国による汎用樹脂の5月の輸入通関数量は、合計8品目のうち5品目が前年同月を上回った。昨年12月から今年4月までは合計8品目のうち6品目なり7品目なりが前年同月を下回る状態で推移してきたが、5月は大きく様変わりした。
 
 5月の輸入で前年同月を上回ったのはHDPE、PPホモポリマー(PP-H)、PPコポリマー(PP-C)、PS、ABSの5品目。このうちABSはかねてから長期にわたって前年同月超えが続いており、5月も前年を4.3%上回ったので前年同月超えの記録はついに15ヶ月に延びた。HDPEは4月に続いての前年同月超えである。しかしPSは前年割れとなった4月から再び前年超えに転じたばかりであり、またPP-HとPP-Cの前年同月超えは前者が6ヵ月振り、後者が7ヵ月振りとなっている。

 大手商社筋では、これら5樹脂が前年同月を上回った要因として二つの点が挙げられると指摘している。一つは、四川省の災害復旧に膨大な量の土のうが使用されるようになったことによってフラットヤーン用のHDPEとPPが品不足状態に陥ったことであり、もうひとつは樹脂加工業界の間に先高観が急速に広まって前倒し発注が各分野で発生したことである。
 
 一方、HP-LDPE、L-LDPE、PVCの3樹脂は引き続き前年同月を下回った。PVCは4ヵ月連続の、HP-LDPEは5ヵ月連続の、L-LDPEは6ヵ月連続の前年同月割れとなった。うちHP-LDPEとL-LDPEの前年割れは、世界全体の供給力が需要量を下回る状態が続いていることによるものと見られる。PVCの減少には、加工製品の対米輸出の不振が強く影響している模様。
 
 中国による各樹脂の5月の輸入通関数量は以下の通り。右は1〜5月の累計。かっこ内は前年比。
 ▽HP-LDPE=60,494トン(98.1%)  291,034トン(84.7%)
 ▽L-LDPE=124,565トン(94.2%)  610,436トン(78.0%)
 ▽HDPE=217,097トン(144.5%)  974,196トン(102.5%)
 ▽PP-H=234,021トン(102.9%)  1,072,259トン(81.9%)
 ▽PP-C=29,271トン(101.0%)  129,451トン(69.6%)
 ▽PS=101,654トン(106.1%)  387,770トン(89.0%)
 ▽PVC=73,302トン(85.7%)  387,770トン(89.0%)
 ▽ABS=189,185トン(104.3%)  868,092トン(104.0%)