2008年07月02日
SPDC、L-Lのアジア向け価格を大幅に引き上げ
7月の契約分、トン1,830〜1,840ドルに
【カテゴリー】:市況(海外)
【関連企業・団体】:なし

 サウディ石油化学(SPDC)はこのほど、中国ならびに東南アジア諸国の大手ポリエチレンフィルムメーカーとの間で、日・サ合弁会社「シャルク」のL-LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン;商品名QAMAR)の7月の輸出価格をトン当たりCFR1,830〜1,840ドルとすることで合意した。ナチュラル品種が同1,830ドル、高透明品種が同1,840ドルとなる。ベトナム向けは、いずれも10ドル高い。
 
 6月のアジア地域向け価格は1,660〜1,670ドルであったので、7月分は一気に170ドル上がったことになる。率にして10%強で、これまでにない大幅な値上がりとなる。同社によるアジア地域向けの月間輸出価格としては6月分を抜いて史上最高値となる。ナフサ分解によるエチレンを原料とするシンガポールのエクソンモービルも同じ幅で値上げしており、同社の7月の同地域向けのCFR価格はおおむね1,850ドルに引き上げられている模様。
 
 このようにL-LDPEのアジア地域における価格がここにきて急騰してきたのは、もともと同樹脂の供給設備能力が世界全体で不足していた中でゴミ袋の需要がアジア各地で急拡大してきたのに加え、原油の高騰を睨んでの同樹脂に対する先高観測がアジア市場全体に大きく広がってきたためと見られている。
 
 L-LDPEの設備は最近になってイランやインドで増強されつつあり、市場投入量も6月中旬以降は徐々に増えてきている模様。しかし需要がそれを上回る勢いで拡大しているので、引き続き需給はタイトのまま推移しており、サウジで大型設備が完成し本格稼動が相次ぐ来年春まではこの状態が続くとの見方が一般的となっている。