2008年07月02日
PHとACの中国向け価格の改善が進展
三井化学等の減産で需給が引き締まる
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学などフェノール・チェーン大手によると、フェノール(PH)とその連産品であるアセトン(AC)の中国向け価格がここにきて急速に上向いてきた。
 
 PHの今週明けのトン当たりのCFR価格は1,800ドル弱で、1週間前に比べると100ドル近く上がっている。6月上旬の価格に対してはおよそ200ドル、最近のボトムの5月中旬の価格に対比すると250ドルそれぞれ改善されたことになる。

 一方のACの今週明けの平均CFR価格は1,150ドルで、1週間前に比べると150ドル高くなっている。過去1ヵ月以にわたって1,000ドル前後に張り付いたままであったのが大きく様変わりした。

 いずれも、原燃料の高騰とアジア市場における製品価格の低迷で窮地に陥った三井化学をはじめとした大手サプライヤーが6月から相次いで大幅な減産に踏み切ったことで同地域全体の需給バランスが急速に改善されてきたためと見られる。ちなみに最大手の三井化学の現在の減産率は、国内とシンガポールを合わせて20%に達している。
 また、ここにきて中国等アジア地域の需給バランスが急速に改善されはじめてきたもう一つの要因としては、わが国以上にプロピレンの高騰に悩まされている欧米のPH企業が同じく大幅な減産に踏み切ったためアジア地域への欧米品の流入が激減してきたことも挙げられそう。
 
 もっとも三井化学は、現在の価格ではまだ最近の原燃料の高騰分をカバーできないという。このため同社では、もう一段の底上げを目指して引き続き中国の需要家各社と折衝を重ねていくことにしている。先ずは、PHのCFR価格を1,850ドルに、そしてACの価格を1,300ドルにそれぞれ引き上げる考え。
 なお、中国はPHとACそれぞれの世界最大の消費国だが、最近は輸出大手の減産と安値商談の見送りによって手持ち在庫が縮小して適正規模を下回る傾向にある模様。