2008年07月10日
三井化学のPHの価格改定交渉が満額回答で決着
C重油の高騰分の転嫁を需要家が了承
【カテゴリー】:市況(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は10日、かねてから同社がPH(フェノール)の需要家各社との間で進めていたPHの価格改定交渉が同社の希望がほぼ全面的に受け入れられるかたちで決着したと発表した。

 今回の価格改定の狙いは、PHの製造に不可欠なC重油の7〜9月期の価格が従来の1キロリットル当たり50,000円から一気に同84,000円へと跳ね上がる見通しとなったのでそれに伴うコストアップ分を製品価格に転嫁して採算の維持を図ることにあった。
 PHの価格は、原料価格の変動に連動するかたちで決められる方式が定着しているが、最近のようにC重油の価格が高騰するとその分がそのまま大幅な採算割れに結びついていくことになる。このため同社では、事業の継続にはC重油の高騰分の製品価格への転嫁を需要家各社に認めてもらうほかないとして1キロリットル当たり17円の値上げの了承を各ユーザーに要請してきたもの。上げ幅を同17円と設定したのは、C重油が1,000円上がるとPHのコストが1キログラム当たり0.5円高くなるためと説明している。

 同社がこうした内容の価格改定を打ち出したのは5月19日であった。今回の決着までにはかなりの時間がかかった。これは、フェノール樹脂メーカーなど需要家がそれぞれの製品値上げに自信を持てないできたためと見られる。しかし、これまでにない大幅な減産に踏み切るなど三井化学が不退転の構えを貫いてきたことが効いて、最終的には大手需要家である住友ベークライト、大日本インキ、群栄化学の各社から満額回答を得ることができ、また中小規模のユーザーからもほぼ満額といえる額での受け入れ表明を得るに至った。
 ただしC重油の価格は、当初の関係者の予想と異なり現在も大幅な上昇を続けている。7〜9月期の価格は10万円前後まで上がるとの見方が多い。その場合は同社が再度の値上げに踏み切るのが確実と見られる。