2008年07月11日
三井化学、大阪工場の原料多様化率拡大へ
先ずは月内にブタンの使用可能率を16%に
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はこのほど、全額出資会社・大阪石油化学の堺工場内でエチレンプラントの原料多様化工事に着手した。
 石油化学事業部門の体質強化には同工場におけるナフサ以外の原料の使用可能量を同社市原工場と同等のレベルまで引き上げることが不可欠と判断してのもので、7月末までに第1期工事を完了することにしている。

 その時点での同工場の原料多様化率は、現在より6ポイント強改善されて16%に引き上げられる見通し。次いで次回の定修時の2010年夏に予定している第2期工事では23%まで拡大、そして最終的には市原工場のエチレンプラント同様に最大40%までナフサ以外の原料の使用が可能となるように持っていきたいとしている。

 現時点における大阪石油化学の原料多様化率は10%弱というところ。同じ三井化学の市原工場のエチレンプラントはもとより、わが国で稼動中のエチレンプラント全ての平均に比較してもかなり低い。もっともこれは、同社が同工場をオレフィンコンバージョンプロセスの持つ強みを生かせるプロピレンリッチのセンターとして発展させていくことに力点を置いてきたからともいえる。

 しかし、厳しさを増す一方の国際環境の中で競争力を高めていくにはエチレンの生産コストを少しでも縮小していくことが一段と重要となってきたことから、ブタンの弾力的な活用を主眼とした原料多様化にも踏み切ることにしたもの。
 現在は、ブタンをタンクから分解炉まで輸送するパイプや分解炉の原料受け入れ部分の改良ならびにポンプの増設、さらには分解炉の一部の手直し等の工事が進められている。完工後には、これまで年間最大14万トンにとどまていたブタンの使用量を23万トンに増やすことが可能となる。このことは、ブタンの価格が下がる夏場に特に大きな経済効果を発揮することになる。

 さらに同社では、将来はブタンにとどまらずヘビーコンデンセートやガスオイル等もその時々の価格の動きを睨みながら機動的かつ弾力的に採用していくことで石化原料の多様化率を大きく引き上げていきたいとしている。