2008年07月18日
先ずは東邦化学が新設備の建設に着手
三菱化と県の誘致で鹿島にEO誘導品企業群が集合
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学が茨城県と共にEO(酸化エチレン)の誘導品企業群を鹿島臨海工業地区に誘致してEOチェーンの高効率生産体制を構築したいと考え実行準備に乗り出していた〓鹿島EOセンタープラン〓が、東邦化学工業の界面活性剤工場の建設着手によっていよいよ実現の段階に入った。
 
 同プランは、鹿島以外の地域に製造工場を持つ各種界面活性剤や繊維油材等のメーカーをEOの大型プラントが稼動中の鹿島石油化学コンビナート地区に誘致し、双方の設備をパイプで直結することによって三菱化学と需要家の双方の物流と製造に係わるコストの削減を図ろうというもの。これが実現すると、ローリーや貨車によるEOの遠隔輸送が不要となり、お互いの事業体質の強化に大きな効果を発揮することになると見られている。
 
 このプランに対しては、EOの有力誘導品企業である東邦化学工業、竹本油脂、日華化学、青木油脂の計4社が相次いで同意を表明、うち東邦化学工業が先頭を切って7月7日に現地で界面活性剤の新工場の建設工事に着手した。完工は来年3月の予定。
 現在同社は、千葉工場と追浜工場で各種界面活性剤を製造中で、それに必要な原料EOは三菱化学・鹿島事業所からローリーや貨車で供給を受けている。その同社が新たに鹿島に進出することにしたのは、需要の順調な拡大への的確な対応と生産・物流コストの削減という二つの狙いを同時に実現するにはEOプラントの隣接地に新たな生産拠点を設置するのがベターと判断したため。
 
 他の3社も同じ目的から鹿島への進出を決意したとのこと。これら計4社が最終的な決断を下すに当たっては、法人事業税の3年間の課税免除や不動産取得税の免除等の優遇措置を講じて進出企業の活動を強力に支援することで知られる茨城県が今回のプロジェクトでも熱心に誘致活動を展開してきたことも大きく寄与した模様。東邦化学に続いては竹本油脂、が09年末完工を、また日華化学と青木油脂が2010年春完工を目途にそれぞれ新設備の建設に着手することになりそう。
 
 三菱化学では、これら4社の進出に合わせて同地域にEOの大型タンクを順次設置するとともにEOプラントと誘導品各社の新プラントとを繋ぐ専用パイプを敷設してEOプラントと各種誘導品プラントとの事実上の一体化を図る計画。蒸気や窒素等も新たな配管で供給していくことにしている。所要資金は約50億円となる見込み。

 鹿島地区では、これら4社に先行してライオン、日本乳化剤、旭硝子の3社がEO誘導品プラントを設置してパイプでEOの供給を受けている。また、花王も2010年末以降は界面活性剤向けのEOをパイプで引き取ることにしている。したがって、2010年末には合計8社のEO誘導品設備がパイプでEOプラントとパイプで直結されることになる。三菱化学では今後も引き続き誘導品企業を鹿島に誘致、また、ケミカルタンカーによる原料の一つの高級アルコール等の輸出入も実現したい意向である。