2001年05月21日
大日本インキ化学、今期も連結の最高益更新の見込み
奥村社長が会見で表明、内外の事業再構築の効果に自信
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:大日本インキ化学工業

 大日本インキ化学工業の奥村晃三社長は21日に記者会見し、平成13年3月期の連結ベースの決算内容を説明するとともに、今後の経営課題と当面の業績目標を披露した。
 この中で同社長は今期の業績について、「国内における事業の再構築と海外の子会社を含めたグループ全体の経営のより効率的な展開によって、前期に続いて最高益を計上できる見込みにある」と発言、業績拡大に対する強い自信のほどを示した。この日の発言内容は概要次の通り。
 1、2001年3月期は上期と下期とでは経済環境が大きく変わり、特に下期に入ってからの米国の景気の後退は当社の海外グループ企業の業績にも大きな影響を及ぼした。サンケミカルの傘下のKPG(コダック・ポリクローム・グラフィックス)やライヒホールドが原料高もあって大幅な業績悪化に見舞われた。また、コーツの買収シナジーもかなりの遅れをきたした。
 2、しかし国内のポリマー部門の構造改革が大きな成果を上げ、その結果、グループ全体の収益は営業利益も経常利益も純利益もすべて史上最高を記録できた。中期経営計画の初年度の目標をおおむね達成できたと言える。有利子負債も1ドルを105円として計算すれば計画の1年前倒しで縮小できている。
 3、もっとも、残された課題もある。遅れているコーツの買収シナジー施策の早期実行、KPGの業績改善、ライヒホ-ルドのラテックスのアライアンス・売却とポートフォリオの組み替えを含めた一層の構造改革、国内事業の選択と集中の一層の推進、グラフィック事業の収支バランスの改善--などが挙げられる。
 4、こうした課題を着実にクリアしていくことで2002年3月期も引き続き最高益を更新していきたい。また、それが実現できる見通しを得てもいる。売上は4.9%増の1兆300億円、営業利益は10%増の530億円、経常利益は11.9%増の280億円、純利益は7.2%増の160億円となる見込みだ。
 5、今期の経営環境は内外ともに引き続き厳しいと覚悟している。このため、これまで以上の思い切った改革をどんどん実行に移していく考えだ。その一つとして事業組織を市場対応型に再編成することにして、印刷材料、包装資材、電子情報材料、工業材料、機能製品の五つの事業部門をこの4月1日に再発足させた。研究開発体制も改善した。
 6、基本に掲げていく経営施策は(1)グループ経営の推進(本部機能の強化など)(2)投資効率の改善と思考の変革(独自の経済付加価値指標の採用など)(3)新製品開発のスピードアップと研究効率の改善(4)経営幹部と次代の育成を見据えた研修制度の充実(5)成果主義給与制度への改定--の5点だ。うち、経済付加価値指標の採用と成果主義給与制度は来年4月からの実行を目標とする。
 7、グループ経営の推進に当たってのポイントは“グローバル化”にある。顧客がグローバルに事業を展開していくのをグローバルに支援していくほか、グループ企業が必要とする原料を共同で調達するとか、当社自身も中国などに積極的に投資していく等、テーマは多い。 
8、一方国内では、環境対応分野とITを含む電子・情報分野の事業の拡充に特に力を入れていきたい。