2001年05月21日
クラレ、衣料用テキスタイル事業を移管、ポリエステル長繊維生産部門を分社化
クラレトレーディングで原糸からの一貫体制構築
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:クラレ

 クラレは21日、本年度より開始した中期経営計画「G-21」で挙げた収益改革策の一環として、衣料用テキスタイル事業を2002年4月をもってクラレトレーディング(株)に移管するとともに、今年10月に西条事業所(愛媛県西条市)内のポリエステル長繊維生産部門を分社化する、と発表した。
 同社のポリエステル長繊維事業(クラベラ事業)は、1969年の生産開始以降、同社繊維事業の中核としての地位を占めてきたが、近年は国内消費の不振、輸入製品の増加による影響を受け、1998何度および2000年度に赤字になるなど、厳しい状況が継続していた。しかしその一方で、従来同社が進めてきたポリエステルでの機能性の追求、独自ポリマー製品の展開は、ひかり消臭繊維「シャインアップ」やEVOH繊維「ソフィスタ」などを生み、市場でも高く評価されている。
 クラレトレーディングは同社100%出資の専門商社で、同社製品全般に亘り最大の取引先。中でも衣料関連事業では、同社製品の販売と同時に、ポリエステルと他繊維との複合素材や、2次製品を独自に巾広く展開し実績を上げている。
 現在、日本のポリエステル事業は、その開発力において世界でも商い評価を受けており、中でも同社はトップレベルの能力を持つと市場からの評価を受けている。しかしながら輸入製品の増加など、縮小している国内製品市場においては、更なる競争力の強化無くして当事業の維持・収益改善は困難と判断するとともに、中期経営計画「G-21」で掲げる“マーケットイン指向”を実践すべく、テキスタイル事業を移管し、2次製品の展開を含めた体制でより市場に密着した運営を進めるもの。
 今回の事業移管の目的として、クラレにおけるテキスタイルと、クラレトレーディングが国内外で培ったアパレルなど、双方のノウハウを一体化、より巾広いコンバーター機能を強化、テキスタイルから2次製品までを含めた総合展開を図る。グルーブ内での原糸からテキスタイル・2次製品までの一貫生産によるトータルコストの合理化を進め、コスト面で定着・拡大が図れなかった商品や分野で積極的に展開、トータル的なコストダウンを図る。2社に別れていた人材を1ケ所に集めることにより、両社の持つ相互のノウハウ(クラレの素材開発力とクラレトレーディングの直販力・2次製品の展開力など)を共有し、より強化する。
 またこの事業移管に併せ、西条事業所のポリエステル長繊維生産部門を分社化し、独立した組織とし、意思決定のスピードアツプや小回りの効く生産体制を築き・刻々と変化する市場への対応力の強化を図る。また、間接部門コストやユーティリティー(固定費部分)などの変動費化、および独立採算によるコスト意識の強化などにより、更なるコスト合理化に繋げる

<クラレトレーディングヘの事業移管の概要>
実施時期:2002年4月
移管対象:衣料用テキスタイル事業全般。(原糸の開発・生産・販売については、クラレが継続)
移管人員:約70人
移管売上:約250億円

<ポリエステル長紙維生産部門分社化の概要>
設立時期:2001年10月
社名:クラレ西条株式会社(仮称)
住所:愛媛県西条市朔日市892(現クラレ西条事業所内)
社長:二見毅(現クラレ西条事業所長予定)
資本金:未定
従業員数:約260名