2001年07月12日
環境省など、SD・ST問題では改めての対応不要と判断
都衛研の実験結果は再現できなかったとも指摘
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:環境省、経済産業省、厚生労働省

 東京都が先に「スチレンダイマー・トリマー(SD・ST)が内分泌かく乱物質であることを示唆する都立衛生研究所の研究論文が近く米国の学術誌に掲載されることになった」と発表したことで関係者の一部にはSD・ST問題に改めて関心を示す向きも出ているが、環境省、経済産業省、厚生労働省など関係省庁はいずれも、「国の公的見解と異なるものであり、どうしていまになって都が米国誌に発表するのか分からない」と疑問を投げかけている。各省とも、SD・STのエンドクリン作用問題についていま新たな対応を考えていく必要はないと判断、事態を静観していく構えにある。
 今回の都の発表に対しては、昨年11月に「SPEED’98」のリストからSD・STを削除する措置を取った環境省の内部にも、不可解だと発言する向きが多い。ある幹部は「環境省(当時は環境庁)が67物質のリストからSD・STを外したのは、内外の多くの実験結果を多数の専門家による内分泌撹乱化学物質問題検討会で十分検討していただいた結果、現時点でリスクを算定することは技術的に見て現実的でなく必要がないとの結論が下されたからで、これを踏まえて環境省が取った措置には何ら問題はないと確信している」と言い切る。また、「都衛研の実験は特殊な手法によるもので、その結果から簡単に結論を導き出すのは疑問であり、しかも環境省が都衛研の追試験をやったところ都衛研が指摘するような結果は出なかった」とも指摘する。
 ただしいまのところ各省とも、都から何ら説明がないので公式のコメントの出しようがないともしている。