2001年05月21日
医薬・化学など10社、cDNAクローンの研究所設立で合意
リバース・プロテオミクス研究所、蛋白質の発現研究へ
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:味の素、住友化学、中外製薬、帝人、日立化成工業、日立製作所、藤沢薬品、経済産業省、NEDO

 味の素(株)、住友化学工業(株)、大日本製薬(株)、中外製薬(株)、帝人(株)、日本新薬(株)、日立化成工業(株)、(株)日立製作所、藤沢薬品工業(株)、持田製薬(株)は21日、(株)リバース・プロテオミクス研究所(英文名:Reverse Proteomics Research Institute、略称REPRORI)を新たに設立することに合意した、と発表した。
 (株)ヘリックス研究所(木更津市)、東京大学医科学研究所、かずさDNA研究所(木更津市)は共同でヒトの全長cDNAクローンを蓄積しつつあるが、新研究所はこの全長cDNAクローンから発現される蛋白質と低分子化合物との相互作用を研究することによって、治療ニーズに応える画期的な新医薬品を創出するための共通の研究基盤を構築することを設立の目的としている。
 上記三研究機関の共同研究では、違うクラスターからそれぞれ選ばれた「全長cDNAクローン」約3万個を来年3月までに取得する予定となっている。経済産業省によれば、同省はこれらの全長cDNAクローンの塩基配列を決定してデータベース化しつつある一方、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が受託企業を公募する形で全長cDNAクローンから蛋白質を発現する計画を進めており、発現された蛋白質は産業技術総合研究所の生物情報解析研究センター(お台場、センター長京極好正氏)における研究に供される予定とされている。今回設立される新研究所も発現された蛋白質の提供により研究を行う予定。
 生物情報解析研究センターは蛋白質の構造解析および機能解析によって、主として蛋白質と蛋白質の間の相互作用を研究することになるが、新研究所はそれと対照的に、蛋白質と低分子化合物(典型的には既知の代表的医薬品)との間の相互作用を網羅的に研究することを目的としている。この研究から創薬のための新しい標的蛋白質が見出され、この標的に適した新医薬品をデザインし、創出することが可能になると期待されている。
 新研究所は得られた成果をデータベース化するとともに、特許出備により知的財産化して参加各社がそれぞれ独自に活用できる仕組みとする。新研究所の存続期間は5年間を予定し、資本金3,000万円を参加各社が等分して出資する。新研究所は公的資金の獲得を目指して、今年度にも申請手続を行う予定。同時に、新研究所に参加する各社は公的資金の獲得を条件に、研究費として年額3億円を等分して拠出することで合意している。各社2名の出向により中核的研究員を構成し、かずさDNA研究所内の施設を使用する方向で計画が進められている。設立登記は5月31日、社長は永島廉平氏(中外製薬(株))、研究所長は磯見隆夫氏(現在ヘリックス研究所部長研究員、藤沢薬品工業(株))を予定している。