2008年08月06日
三菱樹脂、太陽熱利用した次世代型吸着式冷凍機の安定稼動に成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三菱樹脂
太陽熱利用の次世代型吸着式冷凍機

 三菱樹脂は6日、産業用冷凍機メーカーの前川製作所(本社:東京都江東区)と共同開発した、ゼオライト(注)系吸着剤を使用した“太陽熱利用”の次世代型吸着式冷凍機を安定稼動させることに世界で初めて成功したと発表した。
 
 吸着式冷凍機は、前川製作所がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の05〜07年度委託事業「太陽エネルギー新利用システム技術研究開発事業」により開発したもので、今回、三菱樹脂のゼオライト系機能性吸着剤「AQSOA アクソア」を搭載し、安定した性能をフィールドテストで実証した。

 太陽光を利用する吸着式冷凍機の稼動は、持続的なCO2の排出削減を可能にし、地球温暖化防止にも貢献すると期待されている。

 吸着式冷凍機とは、従来のような機械的圧縮機を使わず、冷媒に水、吸着剤に専用の吸着剤を用いたノンフロンの産業用冷却・冷房用機器で、水が蒸発する際に周りの熱を奪う気化熱を利用することにより、動力をほとんど使わないで廃熱から3〜25℃の冷熱(冷水)を連続的に作ることができる。
 
 また、機能性吸着剤「AQSOA アクソア」は、三菱化学科学技術研究センターが設計・開発した、ゼオライト系の新しい吸着剤で、温廃熱が比較的低い温度領域でも効率よく水蒸気を吸着・放出できる特徴をもっている。

 「AQSOA」を搭載した吸着式冷凍機は前川製作所が守谷工場(茨城県)で製造する。08年10月末から化学や鉄鋼、食品会社向けに販売開始する。3年後には年間30台の販売を見込む。

 将来は、太陽熱を利用した環境対応型の冷房装置や、未利用だった工場排熱を使っての省エネ型冷水供給装置の実用化なども目指す。

【用語】
(注)ゼオライト:結晶中に微細孔を持つアルミノ珪酸塩の総称。日本名は沸石。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1217998641.pdf