2008年08月06日
SMのアジア市況が一段と下降
韓国のFOB価格、トン1,500ドルに
【カテゴリー】:市況(海外、原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:なし

 SM(スチレンモノマー)のアジア地域の市況が一段安となってきた。SM業界筋の調べによると、指標となる韓国の直近のFOB価格の平均はトン当たり1,500ドル強まで下落しており、最大の消費国である中国のCFR価格も自動的に値下がりして1,520ドル前後となっている模様。7月中旬に比べると約150ドル、また2週間前に対比するとおよそ100ドルそれぞれ下がっている。

 この3週間の下降が特に目立つが、これには中国のSM市場全体の需要の激減が大きく影響していると見られる。大手商社の担当者や最近現地を調査してきたSM企業の幹部等の話によると、中国ではEPS、PS、ABS等のSM大口ユーザーが末端需要の縮小によって軒並み大幅な減産に追い込まれているという。減産幅は、大きいところでは40%、小さいところでも30%に達している模様。

 これは、金融引き締めによる一般景気の停滞とSMユーザーの購買力の低下、さらには最近の原油価格の下落によるSM等石油化学製品全体に対する先安観の広がり等々多くの要因がからみあってのものと見られ、急速に需要と市況が回復する可能性は極めて低いとの見方が一般的となっている。

 現在のアジア市況では、わが国のSMメーカーも大幅な採算割れとなる。このため最近は各社とも中国向け輸出を極力しぼってきており、それに伴い生産量もこれまで以上に縮小しつつある。8月中旬以降はさらに減産率を引き上げるとするところが多く、しばらくは中国の需要家とのがまん比べが続きそう。