2008年08月08日
三井化学がBPAとPHの減産をさらに強化
中国の引き合いの縮小とPC各社の減産に対応
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学

 フェノール・チェーン最大手の三井化学は、8月から9月にかけてBPA(ビスフェノールA)とPH(フェノール)の減産率を一段と拡大する方針を固め、実行に踏み切った。

 BPAについては、先ずは、現在65%に抑えている名古屋工場の年産52,000トン設備の稼働率を8月は50%まで引き下げる。同設備は9月に入ると定修のため全面的に運休することになっているので、向こう2ヶ月の同工場における生産量は極端に絞られることになる。加えて、定修明けとなった大阪工場の同68,000トン能力装置の稼動率を8月は70%に抑え、さらに9月には50%まで引き下げることにしている。
 市原工場の同80,000トン設備は8月と9月も引き続き同じ70%に抑えていく計画であり、またシンガポール工場(子会社;MPS)の同230,000トン装置も現在の97%稼動を少なくとも8月一杯は継続していくことにしている。したがって向こう2ヶ月における同社全体の総生産量は、大幅減産に踏み切った過去2ヵ月をさらに下回るのが確実となる。

 一方のPHについては、現在90%に抑えている市原工場の同190,000トン設備の稼働率を8月と9月も同じレベルに維持していく傍ら、現在85%操業にセーブしている大阪工場の同200,000トンプラントの稼働率をさらに10%引き下げて8月も9月も75%に抑え、また、従来はフル稼動を予定していたMPSの同300,000トン装置も8月の稼働率は90%に引き下げることにしている。

 同社がBPAとPHの減産に踏み切ったのは今年6月から。BPAとPHの世界最大の消費国であり同社の有力輸出先でもある中国からの引き合いが縮小傾向に転じるとともに原燃料価格の高騰に対応しての同国向け輸出価格の底上げが次第に受け入れられなくなってきたこと、さらには内外のPC(ポリカーボネート)メーカーがアジア地域全域の需給の均衡を目的に思い切った幅の生産調整を開始したこと等を重視してのものであった。
 
 減産幅はかつてない大きな規模となったが、その後も事態の好転が見られないままきているため一段と減産を強化して環境の改善に再度注力していくこととしたもの。
 BPAのアジア地域の需要の後退と市況の低迷には三菱化学、出光興産、新日鉄化学の3社も頭を痛めており、各社とも8月から9月にかけて減産率をさらに引き上げていく構えを示し始めている。大口需要家の一つのPCメーカーもこうした動きを好感しており、軌道に乗ればBPA、PC、PH、ACなど関連製品全ての需給と市況の適正化に結びついていく可能性が出てくる。