2008年08月18日
三井化学がシンガポール政府から「DPIP賞」受賞
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:三井化学
Jayakumar副首相(左)からDPIP賞を受ける藤吉建二・三井化学社長

 三井化学はこのほどシンガポール政府から同国の経済と社会の発展に貢献したとして、08年の「DPIP賞=Distinguished Partners In Progress Award」受賞企業に選ばれ、その授賞式典が、EDB(同国経済開発庁)によって14日、シンガポールのホテルで盛大に開催された。
 
 DPIP賞は、同国の経済と社会の発展や交流に尽くした海外企業を対象に、EDBが1991年から毎年授与しているもので、海外企業に贈る賞のなかでは最も栄誉のある賞とされている。三井化学の受賞は日本企業では6社目、化学分野では1998年の住友化学に次いで2社目の受賞となる。
 
 EDBのLim Siong Guan長官は、三井化学を選定した理由について「シンガポールに対するこれまでの積極的な投資と充実した協力関係の構築」をあげ、「引き続き三井化学とは化学産業のさらなる成長を目指して協力していきたい」と、今後に期待を示した。
  
 三井化学のシンガポールにおける生産活動の歴史は古く、旧・三井東圧化学による1966年の合板接着用樹脂の生産に始まる。1990年に塗料用樹脂の工業化に踏み切ったあと、1997年以降はビスフェノール-A(BPA)、フェノール(PH)、熱可塑性エラストマーと、コア事業の製品の大型プラントをジュロン島に相次いで建設。06年には同国の科学技術研究所内に新触媒の研究開発を目的とする「三井化学アジアパシフィック技術センター」を設置しEDBとの協力・信頼関係を一段と強固なものにした。

 現在シンガポールには、BPAが3系列合計年産230,000トン、PH300,000トン、エラストマー(商品名;タフマー)100,000トンなどの生産設備を持つ。このうちタフマーは倍増工事を進めており、09年12月には200,000トン体制となる。

 授賞式典にはS Jayakumar・同国副首相が出席し、三井化学への謝辞と今回受賞の祝辞を述べたあと藤吉社長に賞状と記念トロフィーを贈呈した。
 
 <Jayakumar副首相のスピーチ要旨>
 シンガポール政府はかねてから経済政策の重要な柱に化学産業の育成を掲げ、その実現に力を注いできた。これには海外各国の投資が不可欠であったが、三井化学は19996年いらい長期にわたって優れたパートナシップを発揮しわが国の化学産業の発展に大きく寄与してくれた。

 三井化学は現在、PH、BPA、エラストマーのビジネスの展開に加えてR&Dセンターも開設、これからのシンガポールの戦略的技術力強化に大きく貢献すると期待している。

 現在のシンガポールでは、化学産業の生産高が工業総生産高の最大規模を占めるに至っている。しかしこれからのシンガポールにとっては、スペシャリティケミカルズとアドバンストポリマーのビジネスの拡充が重要課題の一つとなる。こうした中で三井化学が多彩で高度な技術力を生かしてわれわれのビジョン実現を支援してくれるよう願っている。
 
 <藤吉建二社長のスピーチの概要>
 シンガポール政府からDPIPという栄誉のある賞をいただき、大いに感謝している。当社は1966年に接着剤の生産会社を設立していらい、40年以上にわたってシンガポールでさまざまな化学事業を展開してきた。90年代後半からはフェノール、ビスフェノール-A、エラストマー等の大型投資を相次いで実行してきた。お陰でこれらのプラントは順調な操業を続け、また大幅な設備増強も実施している。

 加えて04年にはシンガポール国立大学との共同研究をスタート、さらに06年には三井化学として初の海外研究拠点をジュロン島に開設するなどで、シンガポールを三井化学のアジアにおけるハブとして位置づけ、グローバルに事業を拡充しつつあるところである。

 このようにシンガポールで順調に化学事業を拡大してこれたのは、原料確保の安定性、港湾設備や物流面での優位性、優秀な人材の確保等に加えてシンガポール政府による手厚く積極的な支援があったからにほかならない。

 三井化学は今後とも、シンガポールを中心に海外事業展開に積極的に取り組んでいく考えである。設備の増強については、来年末に完工を予定しているエラストマープラントの2倍増設に続いて、年産300,000トン能力のPH設備の550,000〜600,000トン能力への増強等を検討しており、数カ月内に結論をまとめたい。