2008年08月29日
極東全域でSMの生産が大幅に縮小
日、韓、台の大手が相次ぎ減産に踏み切る
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(経営)
【関連企業・団体】:なし

 極東地域におけるSM(スチレンモノマー)メーカーの生産がここにきて急速に縮小し始めた。
 日本、韓国、台湾の3カ国のSMメーカーの間で需給の均衡を目的に大幅な減産に踏み切るところが相次いで出始めたことによる。中には、秋に予定していた定修を前倒しして1ヵ月にわたって操業を全面的に休止する措置に踏み切るところも現われている。需給バランスと市況に対する強い危機意識が極東地域全体のSMメーカーの間に急速に広がってきたことによるもので、こうした動きに対しては中国を中心としたアジア地域全体の市場も敏感に反応し始めている。
 
 現在、極東地域でSMの減産に入っているところは旭化成ケミカルズ、出光興産、日本オキシラン、新日鐵化学、三菱化学、韓・ロッテデサン、同・サムソントタール、同・LGデサン、台・グランドパシフィック、同・FCFC、中国・シャングリアン等。
 多くの企業が7月から10%前後の生産調整を実施してきたが、需給に大きな変化が現われなかったため8月に入ってからは減産率を15〜20%に拡大している。中には三菱化学のように40%の減産を実施しているところもある。多くのSMメーカーは稼働率調整によって減産中だが、中には電気化学のように6月に終了する予定であった定修期間を延長するところや、サムスンやFCFCのように逆に定修の前倒しで集中的な減産に踏み切る企業も見られる。
 
 これだけ多く企業がいっせいに減産に踏み切るのはSMの歴史でもあまり見られないこと。中国をはじめとするアジア市場全体に広がった先安観に基づく買い控えによる需給バランスの混乱と市況の下落に歯止めをかけるには生産量を極力絞っていくほかないと各社が判断して実行に踏み切ったことによる。
 
 また9月から10月にかけては旭化成ケミカルズ、出光興産、千葉スチレンモノマー、太陽石油化学、YNCC、揚子BASFなどが定修を実施する予定にある。このため極東のSMの需給バランスは今後急速に引き締まっていくとの見方が一般的。そのへんは需要家も十分視野に入れているようで、商社筋にはスポット相場がここにきて小幅ながら反発し始めたと指摘する向きが増えてきている。直近の中国向けのCFR価格はトン当たり1,500ドル台を回復している模様。わが国のSMメーカーの多くは、できるだけ早い次期に先ずは同1,600ドルに引き上げたいとしている。