2008年10月21日
旭化成ケミ、ANの輸出価格の据え置きを目指す
減産と定修の集中でアジアの需給バランスは均衡
【カテゴリー】:市況(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:旭化成ケミカルズ

 旭化成ケミカルズは、AN(アクリロニトリル)の10月の中国向け輸出価格をCFRトン当たり平均2,140ドルとする方針を固めてこのほど中国の需要家各社と折衝を開始した。9月の平均価格は同2,165ドルだったので、ほぼ据え置きを目指す。輸出価格の値崩れが容易に止まらない最近の化学製品の中では極めて異例の現状維持となる。
 
 同社によると、ANの現在の需給バランスは主要AN企業の減産と定修の集中によってアジア地域全体で均衡状態が続いている。需要はアクリル繊維向けやABS向けが低迷しており、またナフサ価格の急降下による先安観の広がりもあって市況環境は多くの化学製品同様に悪化していると言える。

 ところが、日本、韓国、台湾の各国のAN企業が今年夏場から相次いで減産に踏み切ってきたのに加えて、例年の秋の定修期に入って多くのプラントが運休に入ったため実際の市場には他の製品にない需給引き締まり感が生まれているもの。
 
 現在、稼働率調整と定修によってANを減産中のところは、日本の旭化成ケミカルズ、ダイヤニトリックス、台湾・CPDC、韓国・東西石油化学、同・泰光産業の各社。これらの中には減産率がピーク時の50%に達しているところもあるという。また、米国の大手ANメーカー4社のうち3社がハリケーンの襲来と需要減への対応で2〜4週間運休したこともアジアの需給の引き締まりに少なからず寄与していると見られている。
 
 AN繊維等の需要の急回復は見込み薄のようだが、供給量も年内いっぱいは前年を大きく下回る公算が濃厚というのが現在の関係者に共通した見方となっている。