2008年10月27日
汎用樹脂の出荷の1〜9月計も軒並み前年割れ
目立つポリオレフィンとPVCの輸出の大幅減
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 汎用樹脂の1月から9月までの総出荷数量は、5種類の樹脂全てが前年同期の実績を下回るかたちとなった。LDPEとHDPEはともに4.1%、PPは6.6%、PSは4.7%、PVCに至っては11.8%それぞれ前年同期を下回っている。
 
 いずれも、年初に経済産業省がまとめた今年の年間総需要予想量の前年比を大きく下回っている。この中では、5樹脂の国内向け出荷がすべて前年同期を割り込んでいるのに加え、PSを除く4樹脂の輸出がいずれも大幅な前年同期割れとなっている点が注目される。
 
 国内向け出荷量の対前年同期比は、LDPEが2.7%減、HDPEが2.6%減、PPが2.8減、PSが5.3%減、PVCが5.5%減となっている。今年に入ってからのほとんどの月がマイナス成長となっている。しかしその国内向け以上に落ち込みが大きいのは輸出である。PSは9.8%増で唯一前年を上回っているが、他の樹脂はLDPEが13.0%減、HDPEが16.2%減、PPが35.3%減、PVCが32.1%減といずれも大幅に前年を割り込み、出荷全体の足を大きく引っ張っている。PSも9月は前年同月を25%下回っている。
 
 輸出の大幅な縮小には、最大の消費国である中国向けの輸出の急激な減少が大きく影響している。汎用5樹脂の今年1月から8月までの8ヶ月の中国向け輸出(香港向けを含む)通関総数量は、LDPEが26.8%、HDPEが20.0%、PPが34.2%、PSが3.9%、PVCが23.6%それぞれ前年同期を下回っている。PSを除いていずれもこの数年見られなかった大幅な縮小となっている。しかも、これら樹脂メーカーによると9月と10月は中国向けが一段と縮小しているという。各種加工製品の対米・対欧輸出の激減と各樹脂の価格に対する先安観測の広がりが主因と見られ、早急な回復は望み薄とうのが汎用樹脂各社とトレーダ筋に共通した見方となっている。少なくとも年内一杯は大幅な前年割れが続くと予想する向きが多い。このため、生産の一層の縮小が不可欠となろう。
 汎用5樹脂の今年1〜9月トータルの出荷実績は以下の通り。かっこ内は前年同期比。
▽LDPE
 国内向け=1,139,869トン(97.3%)
 輸出=159,394トン(87.0%)
 出荷計=1,299,263トン(95.9%)
▽HDPE
 国内向け=698,118トン(97.4%)
 輸出=76,595トン(83.8%)
 出荷計=774,713トン(95.9%)
▽PP
 国内向け=2,036,427トン(97.2%)
 輸出=179,513トン(64.7%)
 出荷計=2,215,940トン(93.4%)
▽PS
 国内向け=612,064トン(94.7%)
 輸出=31,950トン(109.8%)
 出荷計=664,014トン(95.3%)
▽PVC
 国内向け=892,477トン(94.5%)
 輸出=420,386トン(67.9%)
 出荷計=1,312,863トン(88.2%)