2008年11月06日
旭化成ケミ、下期の営業利益を250億円と予想
「高付加価値系事業の拡充に一層注力」と藤原社長
【カテゴリー】:経営(人事/決算)
【関連企業・団体】:旭化成ケミカルズ

 旭化成ケミカルズの藤原健嗣社長は6日記者会見し、同社の08年度第2四半期(08年度上期)の決算概要と下期並びに通期の業績予想を明らかにした。

 上期の売上高は4,532億円で、前年同期を68億円(1.5%)上回った。しかし営業利益は185億円で前年同期を177億円(48.9%)下回った。
 
 一方下期の予想は、売上高が4,258億円で前年同期比70億円(1.6%)減、営業利益が250億円で同40億円(13.8%)減となっている。もっとも、営業利益は上期に対しては65億円(35.1%)増となる。
 またこれに伴う通期の予想は、売上高が8,790億円で前期比2億円(0.02%)減、営業利益が435億円で同217億円(33.3%)減となっている。

 うち上期の業績が減益となった背景について藤原社長は「原燃料価格の高騰分を決済期間ずれの関係もあって期中に製品価格に転嫁し切れなかったことと、主要モノマーの輸出採算が中国の需要の急激な縮小と価格の下落で大幅に悪化したことが響いた。また、水島工場のエチレンプラントと誘導品プラントが定修のため春先に運休したことも少なからず影響した」と述べ、多くの化学企業同様に原燃料価格の急騰と上期後半に顕在化した中国の需要の急激な縮小と市況の急落に大きく足を引っ張られた点を強調した。

 下期についても「遅れていた国内における製品価格の是正が実現できる見通しにあり、また原燃料価格が下がっているので上期に比べれば営業利益は増えると見ているが、モノマーの輸出環境はなおしばらく厳しい状態が続くと覚悟する必要があるので前年同期を下回るのは避けられない」と汎用製品の業績回復になおしばらく時間がかかるとの慎重な見方を披露した。

 しかし、かねて育成に力を入れている高付加価値系の事業については「リチウムイオン2次電池用セパレータや水処理システム等が順調な成長を遂げる見通しにあり、加えて、各種薬品向けの添加剤を中心としたファインケミカル製品も様々な市場で高い評価を得て本格展開していける基盤が整ってきた」と語り、これまで以上に明るい展望が開けつつある点を強調した。ファインケミカル部門については、現在年間25億円ていどの売上規模を2012〜2013年には100億円に拡大したいとも述べた。