2008年11月10日 |
プライムポリマー、メタロセンPPを企業化へ |
本プラントでの試作とサンプル配布を開始 |
【カテゴリー】:新製品/新技術(原料/樹脂/化成品) 【関連企業・団体】:プライムポリマー |
プライムポリマーは、来年1月から同社大阪工場内でメタロセン触媒によるポリプロピレンランダムコポリマーの生産を開始する。これまで同社は同樹脂については、同工場内のパイロットプラントでを試験生産し、その製品を特定ユーザーにサンプル配布して品質チェックを受けてきた。その結果、高い評価を得られるようになってきたため既存の営業プラントを手直しして量産体制を整え、本格的な市場開拓活動に乗り出すことにしたもの。 メタロセン触媒は、ポリオレフィンの新市場を切り開く有力触媒として世界各国の化学企業が工業化技術の開発に凌ぎを削り、その結果ポリエチレンについてはプライムポリマーをはじめ世界の有力企業のいくつかが技術開発に成功して本格工業化に踏み切っている。しかしPPの分野ではまだ開発の歴史が浅く、現時点で量産化しているのはエクソンモービル、バゼル、トタル、日本ポリプロの計4社だけ。しかも各社ともまだ狙い通りの大型市場を確保するには至っておらず、先行の欧米3社も守備範囲は主として不織布分野に限定されている。 こうした中でプライムポリマーは、L-LDPE(商品名;エボリュー)に続いてPPでも独自の技術研究によって既存の品種にない特徴を持つランダムコポリマーの製造技術の開発に成功したため企業化に踏み切ることにしたもの。 同社が開発した同触媒によるコポリマーは、低温での優れたヒートシール性と高速加工性を同時に発揮する点が最大の強みという。既存のPPの場合のヒートシール温度は通常140℃だが、同社の開発ポリマーは125℃以下で十分なシール効果が上げられ、しかも既存のPPを10〜20%上回るスピードで製膜できるとのこと。また、不純物が極めて少なく臭いがほとんどないクリーン性も大きな特徴だ。こうした点は、各種の包装材料の生産効率アップと製品品質の向上に必死のフィルム・シートメーカーに取って極めて大きな魅力となる。 当面同社では、こうした強みをフルに活かせる食品包装材分野に的を絞って市場開拓を進めていく考え。そして次のステップでは、医療材包装や工業用プロテクトフィルム等の分野でも新たな需要を確保していくことにしている。狙い通りいくと同社のPPのラインアップは、既存のホモ・ランダム・ブロックの各種汎用品種、自動車用コンパウンド、軟質ランダムコポリマー、ガラス繊維入りPPに今回のメタロセンPPが加わって一段と多彩になり、市場のニーズの多様化と高度化に対する適応力が一層強化される。 |