2008年11月10日
「ブループラネット賞」の受賞者二人が会見
ともに、地球温暖化対策の重要性を強調
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:旭硝子

 旭硝子財団は10日、同財団による地球環境国際賞「ブループラネット賞」の第17回授賞者に決定したクロード・ロリウス博士(フランス)とジョゼ・ゴールデンベルク教授(ブラジル)の二人の受賞記者会見を開いた。

 今回の受賞者の一人のクロード・ロリウス博士は、南極の氷床コアの分析によって氷期と間氷期の間の気候変動と大気中の二酸化炭素との相関関係を見い出して、現在の二酸化炭素の濃度が過去にない高レベルに達している点を指摘し、地球温暖化に警鐘を鳴らしたことで知られる人。
 もう一人のジョゼ・ゴールデンベルク教授は、バイオエタノール計画の採択などエネルギーの保全・利用の効率化に関わる政策の立案と施行に大きく貢献。合わせて、途上国の持続可能な発展のための先駆的概念の提唱とリオ地球サミットに向けての強力なリーダーシップの発揮等で国際的に高い評価を得ている。

 この日の会見では、両氏とも現在の地球は温暖化の進行によって重大な危機に陥っていると指摘。問題の解決のために国際的な連携の強化によって温暖化ガスの排出量を少しでも減らしていくことが急務な点を強調した。
 
 旭硝子財団では、12日15時〜16時に東京會舘で両氏の表彰式典を開催。翌13日の13時20分〜17時10分に国際連合大学で両氏による受賞記念講演会を開く。

 10日の会見における両氏の発言概要は以下の通り。
 〔クロード・ロリウス博士の話〕
 私の場合、1957年いらい繰り返し南極で氷床コアの分析に取り組んできた結果、温暖化ガスの排出と地球の気温との間に密接な関わりがある点を突き止めることができた。地球の温度は氷河期から今日までの長い期間に5℃上昇したにすぎないが、現在のように二酸化炭素ガスが大量に排出され続けると今世紀末には2℃から6℃上がることになる。その結果、各地で洪水や旱魃が発生して多くの人々が食糧危機に見舞われ、また資源も枯渇して戦争が勃発することにもなりかねない。そうした事態の回避には国際的な連携による温暖化防止対策の早期確立と実行が不可欠だ。日本はこの分野では先進国と言ってよい。今後も指導的役割を果たしていくことを期待している。
 〔ジョゼ・ゴールデンベルク教授の話〕
 現在のような深刻な地球温暖化問題の起源は、実は石油など化石燃料が使用され始めた150年前に遡ると言える。
 現在は使用エネルギーの80%が化石燃料で占められており、その使用量の増加によって地球の温暖化が加速されている。化石燃料は人類の発展に大きく寄与してきた。しかし化石燃料は、地球温暖化ガスの排出量が大きいこと、埋蔵量が乏しく比較的短期に枯渇する見通しにあること、ソースが特定の地域に限定されていうこと、などいくつかの問題点を抱えている。中でも軽視できないのは地球温暖化に大きな影響をおよぼす点だ。
 このため先進国は省エネ技術一層の向上に努力する必要があり、一方の途上国は先進国を超える新たな省資源・省エネ技術の開発と利用が重要となる。後者については、砂糖きびによるバイオエタノールの早期工業化などが重要課題と言える。
 いまや人類は、地球温暖化の進行によってかつてない危機に見舞われている。バイオエタノールなど再生資源の活用は新たな雇用の創出にもつながるだけに当面の経済危機にひるんで手を抜くことなく果敢に早期実用化に各国とも挑戦していってほしい。