2008年11月14日
中原・トクヤマ社長が業績予想等で会見
特殊品部門でセメント等の落ち込みをカバー
【カテゴリー】:経営(人事/決算)
【関連企業・団体】:トクヤマ

 トクヤマの中原茂明社長は13日に定例記者会見を開き、増収ながら減益となった同社の今年度上期(08年4月〜9月)の連結決算内容と今年度通期の業績見通しについて述べた。
 
 上期の営業利益が前年同期比19%の減益となった点については「原燃料価格の上昇幅が予想を大きく上回ったことと、セメント並びに塩ビ部門の収益が需要の縮小によって大幅に悪化したことが大きく影響し、さらに言えば、出向者労務費差額負担を営業費用に算入したことも減益要因の一つとなった」と説明。そして「中でも大きく足を引っ張ったのはナフサの高騰で、その結果、損益に対する総原燃料費高騰のマイナス効果は半年だけで90億円に達した」とナフサ価格の高騰が業績を大きく圧迫した点を強調した。コアの多結晶シリコンを中心とした特殊品部門の営業利益は5%増えて引き続き増益となったが、「セメント建材・他部門と化学品部門の落ち込みが予想を大きく上回ったので、その分までカバーするのは不可能であった」という。
 
 一方、通期の業績見通しに関しては「ナフサ価格は大きく下がると予想されるが、反面、景気の後退で多結晶シリコン以外の製品の需要が一段と縮小する可能性がある。したがって、当初の予想を変えないでいく」と述べ、通期でも増収ながら減益が避けられないとの厳しい見方をした。売上げは7.7%増えるが、営業利益は15.1%減り、経常利益は6.2%、当期純利益は7.4%それぞれ縮小するとの予想である。
 
 セグメント別の業績については「多結晶シリコンをはじめとした特殊品部門は前年度並みの305億円の営業利益を確保できると見ている。しかし化学品部門の営業利益は16%減となり、セメント建材・他の部門は営業利益がゼロとなる見通し」と、部門によってばらつきが生じる公算が大きい点を明らかにした。これまで以上に特殊品部門に対する依存度が高くなっていく。