2008年11月19日
PVCの出荷、10月も前年比23.2%減と不振
硬質用の大幅減で12ヶ月連続の前年割れ
【カテゴリー】:実績/統計(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:塩ビ工業・環境協会

 塩化ビニル工業・環境協会が19日に明らかにしたところによると、PVC(塩ビ樹脂)の10月の総出荷数量は146,684トンとなった。前年同月の実績を23.2%下回っている。これでPVCの月間出荷量の前年同月割れは、昨年11月に0.8%減となって以降12ヶ月連続となった。

 出荷のうちの国内向けは102,807トンで同11.8%減となっている。3ヵ月連続の前年同月割れである。主力の硬質用が住宅建築の低迷や公共事業の落ち込みで11.5%%減となったのが大きく影響している。

 一方の輸出は43,877トンで同41.0%減となった。中国からの注文の激減による。これで輸出は10ヵ月連続の前年同月割れとなった。

 同日、定例の記者会見に臨んだ菅原公一・同協会会長(カネカ社長)は、出荷の低迷が続いている背景について「原燃料価格の先安を見込んで内外の多くの需要家が極端な買い控えを続けていることが大きい」と指摘。一方、今後の見通しについては「市中在庫は内外とも着実に減ってきているはずなので、原燃料価格が落ち着いてくれば国内でも海外でも需要は次第に回復していくのではないかと判断している」と述べ、さらに「それにこれからは塩ビ製品の持つ優れた環境適性が世の中全体で大きく評価されていくと見てよい。しかも政府が経済対策の一つとして公共施設のてこ入れに乗り出す方針を打ち出したことも塩ビ業界にとってプラス材料」と付け加えて、先行きに少なからず期待を寄せている点を披露した。

 なお、10月のPVCの総生産量は147,208トンで前年同月を21.2%下回った。11ヶ月連続の前年割れである。