2008年11月19日
産総研、有機色素による革新的な次世代型太陽電池開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:経済産業省

 産総研(産業技術総合研究所)は19日、有機色素による高性能色素増感型太陽電池を開発したと発表した。従来型のルテニウム系のように希少金属を含まないため、低コストで製造できる。高効率、高耐久性も実現した。
 
 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の産業技術研究助成事業の一環として、産総研の原浩二郎、甲村長利両氏が、次世代太陽電池として有望視される高性能な有機色素による色素増感型太陽電池を開発した。
 
 現在主流となっているシリコン太陽電池には、製造コストと高純度シリコンの供給不安という2つの問題を抱えているが、今回開発した技術はこの両方を解決した、新規の次世代太陽電池になり得るとしている。
 
 従来の色素増感太陽電池に用いられていた、ルテニウム錯体を使用しないため、希少金属であるルテニウムの資源的制約をクリアしている。また、イオン液体電解液の使用により、低沸点の有機溶媒系電解液では耐久性が100時間以下だったものが、2000時間以上の耐久性を得ることに成功した。
 
 さらに、色素増感太陽電池としては世界最高レベルの変換効率7.6%(セル効率)を達成し、イオンゲル電解液タイプでも5.5%の効率を得ることに成功した。「革新的な太陽光電池技術として、今後の実用化が期待される」といっている。