2008年11月21日
東レ、超高感度ポジ型感光性ポリイミドコーティング材料を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

 東レは、半導体保護膜などに使用される感光性ポリイミドコーティング剤「フォトニース」ポジ型タイプで、独自の感光剤傾斜分布制御技術(注1)により、世界最高レベルの感度と、高い寸法安定性の両立を実現した「PW-3000 シリーズ」を開発したと発表した。すでに一部の大手半導体メーカーで採用されている。

 開発した同シリーズは、従来材料比2倍以上の世界最高感度を有すると同時に、現像時の膜厚の減りが従来材料比1/2〜1/10レベルという高い寸法安定性も兼ね備えている。

 従来、感度と膜厚減りは逆相関の関係にあったが、ポリイミドの溶解挙動(注2)を詳細に解析して溶解性能を高めるともに、感光剤構造の最適設計による独自の感光剤傾斜分布技術により高感度と低膜減りの両立に成功した。

 半導体保護膜に使用されるポリイミドコーティング剤の市場規模は、非感光性タイプ、感光性ネガ型タイプ、感光性ポジ型タイプを合わせて現在世界で約200億円と推定され、今後も年率10%程度の伸びが予想されている。
 
 同社は現在、半導体用途のポジ型感光性ポリイミドコーティング剤で、推定約40%の市場シェアを保有しているが、新シリーズ開発で2010年にはシェア50%に拡大する方針。また、主力の「フォトニース」ポジ型タイプを中心に新規用途開拓を加速し、同年のポリイミドコーティング剤事業の売上高100億円を目指す。

【用語の解説】
(注 1)感光剤傾斜分布制御技術
高感度化と優れたパターン加工精度を両立するために、ポジ型感光性ポリイミド溶液を乾燥した膜中の感光剤濃度を、表面は高く、内部は低くなるように分布を設計する技術。
(注 2)ポリイミドの溶解挙動
東レは、ポリイミド前駆体のポリアミド酸と、新規に開発したエステル化試薬を作用させることで、試薬量に応じてポリアミド酸中のカルボキシル基をエステル化できる反応を世界で初めて見出した。これにより、ポリアミド酸を自由にエステル化でき、アルカリ水溶液に対する溶解速度を自由に調整することが可能となる。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1227244854.pdf