2008年11月28日
主要化学品の輸出、10月も多数が前年割れ
前年超えはBZやPP-Cなど4品目
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 主要化学品の輸出は9月に続いて極めて低調だった。合計25品目のうち前年同月の実績を上回ったのはBZ(ベンゼン)、PX(パラキシレン)、酢酸、PP-C(ポリプロピレンコポリマー)の4品目のみ。07年10月は合計25品目のうち前年同月を上回ったのが17品目だった。

 この中で好調が続いているのはBZとPP-Cの2品目のみで、酢酸とPXの前年超えは傭船の手当てがたまたま前年同月や前月を上回ったからにすぎないといわれる。他の21品目の多くは前年同月を大きく下回っている。EG(エチレングリコール)の97.7%減、TDIの74.6%減、カプロラクタムの66.3%減、酢ビの64.4%減、AN(アクリロニトリル)57.4%減などが特に目を引く。

 主要化学品の過半の品目の前年同月割れは昨年12月以降連続11ヵ月となった。なかでも9月と10月の不振が特に目立つ。要因としては、(1)最大の輸出先である中国の需要家の多くが加工製品の輸出の激減と内需の伸び悩み、さらには原料輸入資金の手当て難や原料の先安観等によって原料手当てを極端に手控えていること(2)中国を中心としたアジア諸国からの引き合い価格が大幅に下落しているため、わが国の化学企業の多くが契約を断念せざるを得なくなっていること、の2点が挙げられる。

 1月から10月までの累計も、同様に前年同期割れの品目が多数を占めている。合計25品目のうち前年同期を上回っているのは、プロピレン、BZ、MDI、PP-C、ABSの5品目にすぎず、20品目が前年同期を下回っている。16品目が前年同期超えとなっていた前年同期と大きく様相を異にしている。
 化学各社とも、11月の輸出は10月をさらに下回ると予想している。これに伴い多くの化学企業が一段と厳しい生産調整を余儀なくされそうだ。

【関連ファイル】
主要化学品の08年10月の輸出数量と累計
https://www.chem-t.com/news/files/tmp_file1_1227841875.xls