2008年12月01日 |
PETくずの輸出、10月は異例の前年割れに |
長期化すれば国内で廃PETボトルが余剰に |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計) 【関連企業・団体】:なし |
拡大一途できていたPETくずの輸出に急ブレーキがかかった。財務省の10月の輸出通関統計によると、全体の80%から85%を使用済みPETボトルが占めていると推定されるPETくず全体の同月の総輸出通関数量は34,025トンで、前年同月の実績を10.3%下回った。 財務省がPETくずの月間輸出統計を集計しはじめた06年1月からなので、06年とそれ以前の月間伸張率は不明だが、07年1月以降ではこれが初の前年同月割れとなった。関係筋の多くは11月の輸出量は前年同月をさらに大きく下回ったと判断している。12月分の引き合いも極めて低調という。輸出の縮小が長期化するようなことがあれば、市町村が容器包装リサイクル法に沿って家庭から分別収集した使用済みPETボトルの多くが行き場を失って国内であふれることになりかねない。 10月に入って突然大幅な前年同月割れに陥った要因について関係者の多くは、わが国の総輸出量の圧倒的多数を消化してきた中国(香港を含む)のPETくず再生加工企業がいっせいに輸入を手控える行動に出てきた点にあると分析している。過去3年の輸出量は、06年が272,390トン、07年が350,271トン、そして今年1〜9月が277,240トンと推移、うち07年の年間伸び率は28.6%、08年1〜9月の伸び率は12.8%であった。輸出先のほとんどは中国で、その中国では対米向けのぬいぐるみやカーペットの裏地などに加工されてきた。ところが米国の景気後退の影響でこれらのリサイクル商品の対米輸出も激減、それに伴い最近は多くの再生企業が事業の大幅な縮小を余儀なくされており、それがわが国からのPETくずの輸入の削減となって現われてきたというのが多くの関係者に共通した見方となっている。 ただし中国の10月の輸入通関統計によると、同月のPETくずの総輸入量は101,090トンで前年同月の実績を8.4%上回っている。うち日本品は21,859トンで前年同月比は39.1%増となっている。9月の船積み分の多くが入着したことによると見る向きが多い。もしそうだとすれば11月の入津量は大幅に前年を下回ることになろう。 |