2008年12月02日
エフピコが透明容器の回収・選別体制を大幅強化へ
広島県と佐賀県にも相次いで自動選別装置を設置
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品、環境/安全)
【関連企業・団体】:エフピコ

 プラスチック製食品容器の最大手メーカーであるエフピコは、今月下旬から来年1月上旬にかけて広島県福山市と佐賀県神埼郡に相次いで食品用透明プラスチック容器の自動選別センターを開設、先行しているPSP(発泡スチレンシート)トレーに続いて透明容器についてもリサイクルを目的とした本格的な広域回収と選別活動に乗り出すことになった。
 
 新たな選別拠点の一つは広島県福山市のPSPトレーリサイクル工場「福山リサイクル工場」内に今年12月下旬に開設予定の「福山選別センター」。様々な種類の透明容器の中からリサイクルに向くPET製品や0PS製品など6種類の容器を近赤外線を利用した選別装置で自動的に選別する機能を持つ。月間処理能力は4系列合計で36トン。
 もう一つの拠点は、佐賀県神埼郡の同じくPSPトレーのリサイクル施設である「九州リサイクル工場」内に来年1月上旬に開設予定の「九州選別センター」。処理能力は月間9トン。
 
 これら二つの新拠点の開設によって、同社の透明容器の回収・選別拠点は既存の茨城県結城郡の茨城選別センター、兵庫県西宮市の西宮選別センター、岐阜県安八郡の中部選別センターを合わせて5ヶ所に増え、月間処理能力は従来の月間32トンから一気に81トンに拡大することになる。
 
 同社では、これらの拠点で選別されたリサイクル適合品については、すべての製品の衛生上の安全性を米・FDAの衛生・安全基準に照らして厳しくチェックした上で粒状のリサイクル原料に戻してもう一度トレーに加工することにしている。
 
 同社による食品用プラスチック容器の回収・リサイクル(トレーtoトレー)の歴史は古く、最初に福山の本社工場でPSPトレーの回収・再生に乗り出したのは1990年9月であった。いらい17年間に回収したPSPトレーは179億5,875万枚(71,835トン)に達し、これによって節約された原料を原油に換算すると200リットルのドラム缶およそ86万本分に相当するというのが同社の計算。
 現在のPSPトレーのリサイクル拠点は、宮城県黒川郡の「東北リサイクル工場」、茨城県結城郡の「関東リサイクル工場」、岐阜県安八郡の「中部リサイクル工場」、広島県福山市の「福山リサイクル工場」、佐賀県神埼郡の「九州リサイクル工場」の計5拠点。これらのリサイクル現場では多くの障害者を積極的に採用している。この2〜3年の年間回収・リサイクル数量は5拠点合計で平均6,300トンといったところ。
 こうした活発なリサイクル活動に対しては国の行政機関も評価し、07年4月には「第1回容器包装3R推進環境大臣賞」の「製品部門最優秀賞」を、また同年8月には「日本ものづくり大賞」の「経済局長賞」を授与している。
 
 その同社が今回透明容器についてもリサイクルを目的に広域選別体制を整備することにしたのは、消費者の多くから各地のスーパーに対してPSPトレーだけでなく透明容器も回収・リサイクルするよう求める声が急速に増えてきたためという。最近は中身が一目でわかる透明容器が多くの消費者の人気を得ており、このためエフピコも透明容器の品揃えに積極的に取り組んでいるがさらに一歩進めて消費者ニーズに機敏に適応していくには同容器の回収とリサイクルにも本腰を入れて取り組んでいくべきと判断したもの。09年のできるだけ早い時期に専用機を福山リサイクル工場内に設置してペレット化に着手し、さらにトレーへの再生にも乗り出したい考えとしている。