2008年12月03日
PSとHDPEの輸入が10月に急拡大
PSは前年同月の12倍、HDPEは3.9倍に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 ポリスチレン(PS)とHDPE(高密度ポリエチレン)の輸入通関数量がともに10月に入って急増、国内の多くの樹脂メーカーと加工メーカーの注目を集めている。

 財務省の10月の輸入通関速報によると、PSの同月の総輸入数量は1,815トンで、前年同月の実績の12.3倍に達し、一方のHDPEの総輸入量は3,428トンで、同3.9倍となっている。
 うちPSのこれまでの月間輸入数量は100トン台から200トン台で推移してきたが、10月はいきなり10倍の規模に拡大した。うち香港から輸入が993トンで最も多く、以下は台湾からが483トン、シンガポールからの持込が169トン、韓国からが68トン等となっている。これらの国の前年同月の実績は香港品がゼロ、台湾品は1トン、シンガポール品は2トン、韓国品は52トンであった。つまり、香港、台湾、シンガポール品の急増がこの10月の輸入全体の急増の大きな構成要因となっているわけ。うち、香港には生産拠点がないので単なる中継地の役割を果たしているにすぎないと言える。
 10月の急増をもたらした背景については、PSメーカーもまだはっきり把握できていないとう。しかし関係者の多くは、日用雑貨メーカーの中で海外品の価格の安さに目をつけて緊急輸入に踏み切るところが出てきたことが大きいのではないかと分析している。なお、これに伴う今年1月から10月までのPSの総輸入数量は3,546トンで、前年同期比は52.9%増となっている。

 一方、HDPEの10月の輸入が急増したのは、前年同月が180トンにすぎなかったタイ品が2,732トンに急拡大したため。他の国からの輸入量は韓国品の248トン、ドイツ品の213トンなど極めて少量にとどまっている。国内のフィルムメーカーの中で、PSの場合と同様に海外品の価格の安さに着目して海外調達率の引き上げを図るところが出てきたせいと見られている。1〜10月の累計は12,725トンで、前年同期の39.7%増となっている。

 いずれの場合も、国内の総出荷量に占める比率は極めて小さい。10月の国内向け出荷量はPSが56,956トン(前年同月比21%減)、HDPEが76,133トン(同9%減)であったので、10月の輸入量の急増も重視すべきでないとの見方が少なくない。ただし、11月以降がどうなるかはウォッチしていく必要がありそう。