2001年06月01日 |
日化協、NTPによる低用量問題討論の結果に見解を表明 |
「BPAでの決定的証拠なく今後さらに検討が必要」が結論と指摘 |
【カテゴリー】:環境/安全 【関連企業・団体】:日本化学工業協会 |
日本化学工業協会は1日、内分泌かく乱物質問題の重要な争点のひとつとなっている「低用量問題」について記者会見し、米・NTP(ナショナル トキシコロジー プログラム)が5月14日に公表した同問題に関する公開討論会(ピアレビューパネル)の結論に対する同協会の見解を明らかにした。 NTPが今回公表したのは、同機関がEPA(米・環境保護庁)の依頼に基づき各国の専門家の参加を得て昨年10月10~12日の3日間にわたって開催した「低用量問題」のピアレビュー(科学的精査)のパネルにおける討論の内容。ただし、この報告書における指摘の中には一般市民に分かりにくい表現の箇所がいくつかあり、このため、一部のマスコミが「フォンサール教授らが指摘しているBPA(ビスフェノール-A)の低用量作用性が確認された」と誤った解釈の報道をするなどの混乱も生じている。 これに対して日化協は、1日の会見で、「現時点ではBPAの低用量問題に関して決定的な証拠はなく、今後さらに検討を要するというのが正しい解釈」との見解を明らかにした。 また、同パネルの討議の結果について「“BPAの低用量作用に関しては、特殊な検査項目についていくつかの信頼性のある証拠が提出された。しかし、統計学的により解析力のある規模の大きな追試がなされたが、再現性は認められなかった。したがって、BPAの低用量作用に関しては、再現性のある、また、一般化できるような決定的に確立された現象であるとは認めがたい”というのが概略」と説明し、正確な理解を求めた。 また、「“フォンサール教授らが見い出したというBPAの低用量作用については、否定するものではないとしながらも、それがどのようなメカニズムで起こったのかは明らかでない”とも指摘されている」と述べるとともに、「同教授が主張するような内分泌かく乱作用による典型的な影響であるという考え方は同パネルでは必ずしも受け入れられていない」との見解も付け加えた。 さらに同協会では、「この問題に関してはまだ多くの解決すべき課題があると認識しており、今後もこの問題に動きに注意し、LRI(ロングレンジイニシアチブ)の研究テーマの一つに取り上げるなど必要な対応を進めていく考え」と同問題に対する同協会の基本的なスタンスも披露した。 |