2008年12月09日 |
鹿島・水島の石化プラントの統廃合を検討へ |
小林善光・三菱CH社長が事業説明会で言明 |
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品) 【関連企業・団体】:三菱ケミカルホールディングス |
三菱ケミカルホールディングスの小林善光社長は9日、定例の事業説明会見を開いて中期経営計画「APTSIS 10」の進捗状況と基盤事業の一つの炭素事業ならびに育成事業の一つリチウムイオン電池材料事業の今後の展望等を明らかにした。 このなかで同社長は、石油化学事業について「軽視できないのは、国際経済環境の急変によって特にエチレン系誘導品事業の収支バランスが急速に悪化し、しかも今後もなお一層厳しい状況が続く見通しとなってきた点だ」と述べ、加えて「必要な対応策の一つとしては、コンビナート各社との連携による鹿島、水島の両コンビナートのプラントの統廃合についての具体的な検討の開始が挙げられる」とも語り、石油化学コンビナートの再構築に対する強い意欲を表明した。 同社長の発言内容の概要は以下の通り。 ○中期経営計画「APTSIS 10」の内容を発表して6ヶ月が経過したが、この間に国際経済環境が激変し、当初の成長戦略も見直しが必要となってきた。 医薬品や機能性樹脂などは着実な成長を続けており、また白色LEDやHEV用リチウムイオン電池材料などは厳しい経済環境の中でも十分成長していける見通しにある。しかし、他の部門は、ここにきての自動車分野とIT分野の需要の激減によって収益を大きく圧迫されつつある。特に石油化学部門はこれまでにない厳しい事態に立たされている。 ○今後も、日欧米の経済は自動車やIT分野の需要の縮小によって軒並みマイナス成長を続けることになる見通しにある。これに伴い石化事業、なかでも汎用品事業はこれまでにない低率稼動を余儀なくされそう。世界全体のエチレンの稼働率は80%前後で推移する時代となると予想している。 ○当社の場合も、石化部門は今後一層厳しい局面を迎えることになりそう。中東勢の大幅な新増設もあって国際競争は一段と熾烈なものとなり、エチレン系の汎用品の稼動率は50〜60%まで低下する可能性がある。プロピレン系誘導品やC4系誘導品は高付加価値化の向上等で激しい国際競争を生き抜くことができても、エチレン系の汎用製品は現状のままではとても競争していけない。 ○このため、エチレン系誘導品事業の存続には、(1)エチレン系製品のうちの弱い事業の撤退(収益悪化リスク約100億円軽減)(2)PE事業の基盤強化(設備集約と高付加価値化)(3)UTT設備削減と最適化(ボイラー削減・燃料転換効果で約100億円合理化やコンビナートUTT連携・協業)(4)アセットライト(在庫削減や事業撤退等で2,000億円削減)などの施策を機敏に実行していく必要がある。 ○また、石油化学部門全体の課題としては(1)鹿島コンビナートの競争力のあるオレフィン・アロマセンター化(2)水島コンビナートにおける競争力のある誘導品への特化(3)四日市事業所における自動車向け等高付加価値製品への特化(4)競争力優位の事業に特化しての海外拠点と事業の拡充等が挙げられ、これらの課題の早期クリアに果敢に挑戦していきたい。ついては、他の石油化学企業や石油精製企業と連携して鹿島と水島のコンビナートのプラントの統廃合についても具体的な検討を進めていきたい。 ○C4ケミカルについては、(1)中国のPTMG第1期の計画通りの完成(2)原料ブタジエンの新製法の確立(3)成長が期待されるコハク酸と1,4−BGの共重合ポリエステル向け原料の安定供給の3つの課題をクリアして成長するアジア史上でのプレゼンスの維持・向上を図っていく。 また、ポリカーボネート・ビスフェノール-A事業については、SINOPECと三菱エンジニアリングプラスチックの販売力と三菱化学の開発力を生かして中国市場で高機能分野をターゲットに事業を展開していく。2010年4月に黒崎で第2期の溶融方PC6万トンを、同年第2・四半期に中国でBPA15万トンとPC6万トンをそれぞれスタートさせる。 PTA事業に関しては、徹底したコスト削減とアライアンスを実施していく考え。(1)インド、インドネシア、中国の各地でエリア市場に強い海外企業との連携による販売・生産体制の構築を図る(2)トン当たりのスプレッド150ドルで収益を確保できるコストの達成(今年度45億円の合理化、年30億円の変動費削減、不採算工場の撤退)(3)海外グローバルヘッドクォータースによる機動力に富むマネージメント等が具体的な課題だ。 ○設備投資・投融資は、当初計画していた5,900億円を4,300億円に圧縮して重点化を図る。戦略的投融資は2,500億円にプラスアルファとしたい。R&D費用は当初の4,250億円を4,050億円に縮小して白色LEDやHEVリチウムイオンデンチ材料に優先配分していく。 ニュースリリース参照 http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1228867345.pdf |