2008年12月12日
アジア地域で計5基のエチレン装置が運休
稼動中のプラントもかつてない低率操業に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(経営、海外)
【関連企業・団体】:なし

 アジア地域で全面的に操業を停止中のエチレンプラントの数が合計5基に達していることがこのほど大手商社ならびにエチレンセンター筋の調べで明らかになった。また、稼動中のエチレンプラントも、その多くが軒並みこれまでにない低率操業を余儀なくされている点も判明した。いずれも主要誘導品の需要の急速な縮小に対応してのもので、当分の間アジア地域では大幅な減産が継続するというのが商社ならびにエチレンセンター各社に共通した見方となっている。

 現在運休中のエチレンプラントは、韓国・SKの年産(以下同)19万トン、台湾・CPCの38万5,000トン、同・FPCの120万トン、タイ・PTTの51万2,000トン、同・IPPCの35万トンの計5基のエチレン装置。これらの中には、秋の定修が終了して10月中に稼動を再開することにしていたものの、需要の縮小が予想をはるかに上回るピッチと規模で進行してきたため、急遽立ち上げを大きく繰り延べることにしたものもいくつか存在する。

 これらのほかでは、韓国・YNCCも40万トン能力の第3号機の操業を停止していたが10日から稼動を再開した。最悪の状態に陥っていた同国内のエチレンの需給バランスが同プラントの全面運休によって徐々に改善されてきたと判断したことによるものと伝えられる。もっとも同社では、同プラントを含めた3系列ともしばらくは稼動率を80%に抑えていくという。

 また、アジア地域の他のセンターもほとんどが操業中のプラントの稼動率を最低限度まで引き下げている。エチレンプラントの場合は保安面からいって70%強が許容範囲内といわれるが、現時点ですでに75%どころまで落としているところも日本国内を含めて少なくない。75〜80%操業のところが過半を占めている。

 石油化学製品の最大の消費国である中国の輸入の激減に対処してのものであり、しかも中国の需要が急回復する可能性は極めて小さいだけにこの状態は当分の間続きそうだ。