2008年12月15日
三井化学の沙漠緑化実験、順調に進展
内モンゴルでの植林、アルカリ土壌でも成果
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学が化学技術を生かして内モンゴル自治区で進めている沙漠化防止のための植林実験が着実な成果を上げている。最近の同社の現地調査で確認された。今年5月に「内モンゴル沙漠化防止植林の会」や内蒙古師範大学教授の協力の指導を得ながらホルチン沙漠のアルカリ土壌地に植えたカラマツ、ポプラ、サジーの3種類の植物が立派に生育していることが確かめられたもの。

 日本の国土のおよそ3.1倍の面積を有するものの、年間降水量が400mm以下にすぎないことに加えて不適切な開墾、過度な森林伐採、過放牧などが重なったことで毎年7万ha(約10万人分の耕地)が沙漠化している内モンゴル自治区。1949年に8,800万ha存在していた草原が50年後の1999年には4割強の3,900万haまで激減していることが判明していらい、同区はもとより、黄砂が飛来する日本でも同区の沙漠化の急速な進行が大きく注目され、有効な防止策が懸命に模索されている。

 こうした中で三井化学は、ナイマン旗ホルチン沙漠で、易崩壊性樹脂で作った「植生ポット」とウレタン系接着剤(またはジフェニルメタンジイソシアネート・MDI)を構成素材の一つとして成形した保水性に富む「植生基盤」とを使っての植林実験に挑戦、その結果、活着が困難とされるアルカリ土壌地でも植物が根着く可能性が十分にあることを確認・立証できた。

 実験に使用したのは、200本の育成ポットと350枚の植生基盤。生育率は育成ポットの場合で90%、植生基盤で60%だった。ほとんどの植物が育たないアルカリ土壌地では極めて高い確率ということになる。

 同社では、来年4月に再び現地を訪ねて冬を越せるかどうかをチェックすることにしている。また、斜度が大きく水分が少ない砂地にも十分に根を降ろせる新たな植林・生育ノウハウも現地の専門家と協力しあってできるだけ早い時期に確立したいとしている。

 こうした結果、1年を通して多くの植物が過酷な自然条件下でも十分に生育することが確認できるようになれば、地域の住民や関連NPOと連携して本格的な植林活動の展開を促していきたい考えだ。狙い通りいけば、沙漠化の防止にとどまらず、植林さらには将来の林業の振興、雇用の確保も可能となるだけに同社の植林実験は深刻な沙漠化の進行に直面している世界各地で注目されることになる。