2008年12月19日
汎用5樹脂の出荷、全品目が4ヵ月連続の前年割れ
1〜11月累計も揃って前年同期を下回る
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計)
【関連企業・団体】:なし

 汎用5樹脂(ポリオレフィン3樹脂とPSならびにPVC)の11月の出荷は5樹脂とも前年同月の実績を下回り、この結果5樹脂揃って前年同月割れは8月以降4ヵ月連続となった。
 1月から11月までの累計も5樹脂全てが前年同期を割り込んでいる。残る12月も前年同月を下回る見通しであり、したがって今年の年間総出荷量も5樹脂全てがマイナス成長となるのが確実となった。
 
 汎用5樹脂の11月の出荷実績で特に目を引くのは、どの樹脂も前年同月に対する縮小率が極めて大きい点だ。最も小幅のPVCでも26.8%減であり、HDPEは27.8%減、LDPEは29.2%減、PSは32.9%減、そしてPPにいたっては36.3%にも達している。
 
 出荷のうちの肝心の国内向けも、これまでにない大幅な縮小となっている。PVCは17.1%減の小幅にとどまっているが、他の4品目はHDPEが26.2%減、LDPEが29.1%減、PSが31.7%減、PPが32.2%減と最近ではめずらしい大幅な縮小となっている。
 PVCの前年割れが続いているのは、土木・建築分野の回復の遅れで主力のパイプ向けの需要が依然として低水準にとどまっていることによるもの。
 他の4品目の大幅減には、自動車向部品けとデジタル家電向けの受注が11月中旬から激減したことが大きく影響している。PPの射出成形用やPSの電機・工業用品種の大幅減にそのあたりが端的に現われている。ポリエチレンのフィルム用の縮小も、輸入品の流入量の増加に加えて工業製品向けのプロテクトフィルムの出荷が止まったことが響いている模様。また、PP、HDPE、PSの3品目の場合は、中国の買い控えに音を上げた極東や東南アジア諸国の樹脂メーカーやトレーダが余剰玉を懸命に日本に振り向けはじめたことも影響したと見られる。 輸出は国内向け以上の落ち込みとなっている。中国からの引き合いが一段と縮小し、しかも提示価格が日本側各社の希望価格と大きくかけ離れていることによるもの。
 
 汎用5樹脂の今年に入ってからの出荷の足取りをたどると、5樹脂が揃って前年同月の実績を上回った月は皆無。11ヵ月のうち7ヶ月は5樹脂全てが前年同月割れを記録している。特に不調が目立つのは8月以降の4ヵ月である。主力品種が軒並み大幅な前年割れを続けており、しかも縮小率が月を追って拡大している。
 これらの樹脂メーカーによると、12月の受注はさらに減少しており在庫が一段と膨らんでいるという。減産幅のもう一段の拡大が急務となってきている。
 
 汎用5樹脂の8月以降の出荷の推移は別表の通り。

【関連ファイル】
汎用5樹脂の8〜11月の出荷の推移
https://www.chem-t.com/news/files/tmp_file1_1229661100.xls