2009年01月06日
化学業界の合同賀詞交換会、例年以上の盛況
「独自の技術革新に一層注力を」と米倉日化協会長
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:日本化学工業協会

 日本化学工業協会は6日、東京都内のホテルで57団体共催による「合同賀詞交換会」を開催した。世界経済の減速など、これまでにない厳しい環境の中での新年だったが、会場には約1,800人の業界関係者が集まり、例年を上回る盛況だった。
 
 主催者を代表して挨拶した日化協の米倉弘昌会長(住友化学社長)は、「しばらくはこれまでにない厳しい経済環境が続くと覚悟しなければならない」と前置きした後、「しかしこうした中でも引き続き化学各社が将来を見据えて独自の強みを生かした技術革新に一層力を入れていけば、わが国の化学産業にも明るい展望が開けてくるはず」と続け、化学工業特有の高度な技術力の一層の向上による苦境からの脱却を力強く呼びかけて盛んな拍手を浴びた。 
 一方、化学業界の当面の課題については「地球温暖化に対する積極的な取組みの継続と、化学品の安全性の確保への適切な対応」の2つを挙げた。
 
 前者については「エネルギー原単位の90年比20%削減を目標とする自主行動計画を着実に実践していくとともに、世界最高水準の省エネルギー・環境関連技術の海外移転や、より革新的な技術・製品の開発に一層力を入れていきたい」と、化学業界全体で地球環境問題に的確に対応していくことが重要との考えを示した。
 
 後者の安全性確保の問題では、SAICM(国際的な化学物質管理に関する戦略的アプローチ)の「2020年までに化学物質の安全な使用を確立する」を目標に、世界の化学業界全体で積極的に取り組んでいくこと、さらに「化審法の改正や欧州のREACHの本登録にも的確に対応していくことが大切」と強調した。
 
 また昨年、物理と化学で4人のノーベル賞受賞者が出たことに触れ「わが国科学技術水準の高さを示すものでまことに喜ばしい」と感想を述べたあと、「下村修博士が化学賞を受賞されたことで、多くの人たちが化学を身近に感じるよい機会になった。引き続き化学の持つ魅力や産業としての重要性・将来性が社会により広く理解されるように取り組んでいきたい」と語った。

 続いて高市早苗・経済産業副大臣が祝辞を述べ、藤吉建二・同協会副会長(石油化学工業協会会長・三井化学社長)の音頭で乾杯し歓談に入った。