2009年01月19日 |
経産省、石化の新プロセス開発に10億円の予算確保 |
蒸留プロセスの高効率化やCO2回収技術の開発も支援 |
【カテゴリー】:行政/団体(原料/樹脂/化成品、新製品/新技術) 【関連企業・団体】:経済産業省 |
経済産業省化学課は、平成21年度から6年計画で計3点の革新的石油化学製造プロセス基盤技術の開発を推進していく方針を固め、初年度分として一般会計から合計10億円の予算を確保した。関係企業や大学等が共同体制で研究開発を進める場合に、NEDO(新エネルギー・産業技術開発推進機構)を通してその組織体に同額を委託費として交付することで支援していくことになる。21〜27年度の事業総額は70億円程度になると同課では予想している。 同課が新たに推進・支援していくことにした技術開発テーマは(1)ナフサ分解プロセスにおける低温化と目的生成物収率向上による高効率化プロセス(2)膜による蒸留プロセスの高効率化(3)CO2を原料とした化学品の製造を実現するためのCO2高濃度回収技術、の3点。 うち(1)は、新規触媒を用いた新規の接触分解炉の開発によって比較的低温で各種の留分をこれまで以上高効率で得られるようにすることを目的としたもの。狙い通りのプロセスが開発されると年間120万トンのCO2を削減できると予想されている。初年度の予算は5億円。 (2)のテーマは、石油化学工業全体のおよそ40%ものエネルギーを消費するとされる分離プロセスのうち、革新的な膜分離技術の開発によって既存のプロセスでは不可欠であった昇温のための蒸留工程が不要の製品の数を大幅に増やすようにするというもの。年750万トンのCO2削減が図れるというのが同課の見通し。初年度の予算規模は3億円。 (3)の開発テーマは、化学工場や製鉄所から大量に排出されるCO2を高濃度で回収して有用な化学品に変換することを狙ったもの。年間50万トンのCO2を削減できるというのが同課の予想。初年度の予算は2億円。 同課ではこれら新規3テーマのほか、かねて推進中の機能性化学品の革新的製造プロセス開発や、セルロース系バイオマスエタノールからプロピレンを製造するプロセス開発など合計五つの開発テーマを「化学産業における環境・資源・エネルギー制約の克服とサステイナブル産業の実現に欠かせない重要テーマ」と位置づけて早期実現を強力に推進していく考え。 |