2009年01月22日 |
ポリオレフィンの出荷も前年割れが続く |
5ヵ月連続の前年割れ、年計も全て前年を下回る |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品(実績/統計) 【関連企業・団体】:なし |
ポリオレフィン3樹脂の昨年12月の出荷数量は引き続き3樹脂とも前年同月の実績を下回った。しかも各樹脂とも縮小率がこれまで以上に大きい点が注目される。LDPEは26%減、HDPEとPPはともに41%減となっている。 これで3樹脂揃っての前年同月割れは5ヵ月連続となった。PSとPVCを合わせた汎用5樹脂揃っての前年同月割れも5ヵ月連続となる。 これに伴い、08年の年間総出荷量も同じく3樹脂全てが前年を下回った。LDPEは8%、HDPEは10%、PPは13%それぞれ前年を下回っている。年初の経産省や関係各業界の予想を大幅に上回る縮小率である。PSとPVCを加えた5樹脂でも同様に軒並み前年を割り込んでいる。 ポリオレフィンの昨年12月の出荷実績の中では、LDPEの輸出が前年を4%上回ったのを除いて国内向けと輸出の双方がともにかつてないほどの大幅な縮小となっている点が特に目を引く。 うち国内向けはLDPEが30%、HDPEが41%、PPが39%それぞれ前年を下回っている。いずれの樹脂も最大消費品種の需要が激減していることによる。LDPEとHDPEの場合はフィルム用の縮小が、またPPの場合は射出成形用の落ち込みが大きく影響している。ポリエチレンのフィルム用の縮小は、安価なPE袋が海外から活発に入ってきたことと、多くのフィルムメーカーが原料レジン先安を予想して買い控えを一層徹底したことによるところが大きいと見られる。PPの射出成形品の減少は、自動車各社が大幅な減産に踏み切ったことと、大手日用雑貨企業やパレットメーカーが安価な海外レジンの手当てにこれまで以上に積極的に取り組んだことによると見られる。 一方の輸出は、LDPEこそ4%増となって10ヵ月ぶりに前年同月を上回ったが、HDPEは41%、PPは58%それぞれ大幅に縮小している。もっとも、LDPEの前年超えについては前年同月の実績が前年比19%減と極めて低調であったことを考えると決して手放しで喜べないと述べる関係者が多い。 年間の出荷量が大きく前年を下回ったのは、年初から不振が続いていた輸出に加えて国内向けが8月以降に大きく落ち込んだことによる。ナフサ価格の急激な下降を睨んで多くの需要家が買い控えを徹底させてきたことと、ITならびに自動車向けの実需が急速にしぼんできたこと、さらには中国の輸入の激減にあって行き場を失った韓国や台湾勢等がわが国に積極的な売込みをかけてきたことが大きく作用したといえる。 多くの樹脂メーカーは今年も少なくとも上半期は不振から脱却できないと覚悟している。 資料室へ ○2008年低密度ポリエチレン生産・出荷・在庫実績 http://www.chem-t.com/link/data/jpca/2008LD.html ○2008年高密度ポリエチレン生産・出荷・在庫実績 http://www.chem-t.com/link/data/jpca/2008HD.html ○2008年ポリプロピレン生産・出荷・在庫実績 http://www.chem-t.com/link/data/jpca/2008PP.html ○2008年ポリスチレン(GP・HI)生産・出荷・在庫実績 http://www.chem-t.com/link/data/jpca/2008PS.html |