2001年05月09日
産業界、エネ庁の“石炭新税”導入に強い反発
8日の会合「経済的負担大きい」「時期尚早」など続出
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:資源エネルギー庁

 京都議定書に盛り込まれた、CO2排出削減目標を達成しようと、資源エネルギー庁が打ち出した「一般炭への新税導入案」をめぐって、8日のエネルギー政策WG(総合資源エネルギー調査会)では、産業界側から強い反対意見が出され、結論に至らなかった。

 当局側は14日にあらためて上部組織である総合部会と需給部会の合同部会を開き、意見集約することにしたが、産業界の反発は強く、新税導入の行方は流動的となってきた。

 エネ庁が提案した新税構想は「省エネや新エネ対策に十分な成果が挙がらなかった場合」の対策として検討したいというものだったが、8日の会合ではその前提となる目標数値などについてはいっさい話し合われず、「この時期になぜ新税か」など「入り口論」のやりとりで終わった。

 産業界の反対意見は要約以下の通り。
(1)米国は京都議定書の批准に反対し、代案を出すとアナウンスしている。国際的な動きを見てから結論を出してもいいのではないか。

(2)本来、地球温暖化対策は国の規制ではなく産業界の自主的な取り組み、創意工夫を中心に推進すべきものである。

(3)エネルギー政策の検討に当たっては安定供給や効率化、経済性などを同時に達成することを念頭に置くべきだ。

(4)新税の導入はコスト高、国際競争力の低下を招く。現在の経済状況の中での最優先課題は景気の回復であり、これに影響を与えかねない新税の導入は受け入れられない。

 また、各論としても(1)温暖化対策における一般炭課税の位置づけが明確でない(2)一般炭課税によるCO2排出抑制効果は疑わしい—などの声が産業界にはつよい。
 なお、産業界の試算によると、提案された新税による新たな税負担額は産業界全体で約1,000億円、化学業界では70~100億円になるという。