2001年05月15日
鳥取地震による「塩ビ建材災害廃棄物」のリサイクルが終了
塩ビ工業・環境協会が引き取り、パイプ等に再生・再利用
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:トクヤマ、経済産業省、塩ビ工業・環境協会

 昨年10月の「鳥取県西部地震」によって発生した塩ビ建材災害廃棄物(塩ビ廃材)を再生・再利用しようという塩ビ工業・環境協会のリサイクル活動が当初描いたスケジュール通りこのほど終了した。
 これは、米子、境港の両市が一時保管してきた各種災害廃棄物のうち、塩ビ製のパイプ、雨どい、波板の各製品を分別して引き取り、粉砕したあと再生管にマテリアル・リサイクルするというもの。一部は、セメント原燃料や塩ビ原料とするためのケミカル・リサイクルにも向けられた。
 前者のマテリアル・リサイクルについては、同協会のリサイクル協力会社の1つである金井産業(山口県新南陽市)が粉砕工程までを担当、そしてその後の塩ビ管への再生加工は既存の塩ビ管・継手メーカーが引き受けて全量を円滑に処理した。また後者に関しては、同協会のメンバー会社の一社のトクヤマ(山口県徳山市)が独自の技術で原燃料化し、有効利用を果たした。今回同協会が両市から引き取って再生・再利用した塩ビ廃材の総重量は約4トンに達したという。
 地震災害によって発生した塩ビ製の建材廃棄物を組織的にリサイクル利用するのは日本はもとより世界でも今回が初めて。
 塩ビ製品は、各種プラスチックの中でも最もリサイクルが進んでいる製品と言える。農ビのリサイクル率は51%に達しており、塩ビ管も40%強と高いレベルにある。こうした点が評価されて、「塩ビ管・継手」は、今年4月1日に施行された「資源有効利用促進法」の「特定再利用業種」に指定されている。今回は、その資源有効利用促進法の施行後最初の自治体レベルでの塩ビ建材リサイクルとなった。
 
宮城勉・経済産業省化学課長の話
 VECの発意と地方自治体の協力によって塩ビ管や雨どいなどの災害廃棄物がリサイクルされた。全国的にも初めてのケースだが、非常に立派な取り組みと高く評価している。 成功のポイントは、ひとつには地方自治体の協力にあったと思う。それによって分別収集や保管がうまくいった。しかし、それを持ちかけたのはVECで、やはり両者の一体となった取り組みがなかったら成功はなかった。
 今後は塩ビ製品に限らず、他のあらゆる分野にこうした取り組みが拡がり進むことを期待したい。